東京ロイター

神経質、国内政治の行方に注目=今週の東京株式市場
[東京 1日 ロイター] –
今週の東京株式市場は、神経質な展開が想定されている。注目されていた米半導体大手エヌビディア<NVDA.O>の決算を無事通過し、投資家の目線が国内政治に向く中、石破茂首相の辞任を求める「石破おろし」を巡る自民党内の動きが市場に影響を与えそうだ。
日経平均の予想レンジは4万1800円─4万3000円
7月の参議院選挙での与党敗北を受けて、市場では石破首相の進退の行方が焦点になっている。今週は自民党が両院議員総会を開き、参院選総括を報告する。総裁選挙の前倒しの是非が注目される中、市場では思惑が浮上しやすいという。
松井証券の窪田朋一郎投資メディア部長は「市場の関心は高いものの、行方が全く見えてこない」と話す。総裁選前倒しが濃厚となった場合、市場は候補者が財政拡張派なのか、財政健全化派なのかを見極めながら動くことが想定される。「経済政策に変化が出てくる可能性がある中、債券・為替・株式市場ともにざわつき始めるだろう」(松井氏)という。
今週は国内で7月の毎月勤労統計調査、家計調査、米国で8月のISM製造業・非製造業景況指数、ADP雇用統計、雇用統計などが発表される。
米連邦準備理事会(FRB)による9月の利下げ幅や年内の利下げ回数の判断に影響を与えるとして、市場では雇用データが注目されている。CMEのフェドウオッチによると、市場が織り込む9月の0.25%ポイント利下げの確率は約87%。「株式市場は9月の利下げを前提としてバリュエーションが切り上がってきた。コンセンサス以上の労働市場の強さが示されると、利下げ期待が後退し株高シナリオが崩れてしまう」(信託銀行)との声があった。
R7.9.1 東京株式市場・大引け=続落、一時4万2000円割れ 米半導体株安を嫌気
[東京 1日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続落し、前営業日比529円68銭安の4万2188円79銭で取引を終えました。前週末の米国市場でのハイテク株安の流れを引き継ぎ、半導体関連銘柄が軒並み売られて指数が押し下げられました。節目の4万2000円を一時割り込む場面もあった。一方、内需株の一角には買いが入りました。
日経平均は355円安で寄り付いた後も一時883円安の4万1835円に下げ幅を拡大しました。節目の4万2000円を割り込むのは8月8日以来。前週末の米半導体株安、とりわけエヌビディア<NVDA.O>株の下落を受け、アドバンテスト<6857.T>やソフトバンクグループ<9984.T>の下げが強まりました。2銘柄で指数を400円近く押し下げました。エヌビディア株は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が複数の関係筋の話として29日、中国の電子商取引大手アリババ<9988.HK>が旧型チップよりも汎用性が高く、より幅広いAI(人工知能)推論タスクに対応する新型チップを開発したと報じたことが嫌気されました。
一方、内需株の一角には買いが入りました。日経平均の下げ幅はやや大きかったが、東証プライム市場では値上がりと値下がりの銘柄数が拮抗し、全面安ではありませんでした。TOPIXは一時プラスで推移する場面もありました。日経平均は大引けにかけて下げ渋りました。
市場では短期的な過熱感がくすぶるが「物価や賃金が上昇するという大きな変化の中で利益成長の潜在力がかなり強くなっていることを踏まえると、過熱感を過度に意識する必要はないだろう」(岡三証券の松本史雄チーフストラテジスト)との見方が聞かれました。これまでの上昇相場で買えていない国内投資家や海外勢による買い余地はまだあるとして「過去1―2カ月のような急激な上昇は続かないだろうが、強気の見方でいいのではないか」(松本氏)との声もありました。
TOPIXは0.39%安の3063.19ポイントで取引を終えました。東証プライム市場指数は前営業日比0.39%安の1576.82ポイントでした。プライム市場の売買代金は4兆0244億4100万円でした。東証33業種では、値上がりは電気・ガスや医薬品、陸運など18業種、値下がりは非鉄金属や証券、電気機器など15業種でした。
エムスリー<2413.T>が大幅高。オリンパス<7733.T>が大幅高。エーザイ<4523.T>が大幅高。ディスコ<6146.T>が大幅安。ソシオネクスト<6526.T>が大幅安。フジクラ<5803.T>が大幅安。新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.3%安の777.98ポイントと反落しました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが750銘柄(46%)、値下がりは806銘柄(49%)、変わらずは62銘柄(3%)でした。

R7.9.2 東京株式市場・大引け=小幅反発、前日大幅安の反動 戻りは鈍い
[東京 2日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は3営業日ぶりに反発し、前営業日比121円70銭高の4万2310円49銭で取引を終えました。前日の大幅安の反動で、買いが先行しました。一方、日経平均・TOPIXともに上値は重く、方向感に欠ける値動きとなりました。
SBI証券の鈴木英之投資調査部長は「自律反発狙いの買いは入ったものの、持続性がない。市場参加者も短期筋が中心で、明確なトレンドは出ていないようだ」との見方を示しました。
日経平均は110円高で寄り付き、しばらくもみ合った後、284円高の4万2473円67銭で高値を付けました。後場はマイナス圏に沈む場面もみられましたが、ドル/円が再び円安基調となる中、プラス圏に浮上しました。前日の米国市場が休場となり手掛かりに乏しい中、日本株に明確な方向感はみられませんでした。
取引時間中は自民党が参院選大敗の要因を分析した総括文書を取りまとめたことを受けて両院議員総会[nP8N3UI036]が開催されたほか、日銀の氷見野良三副総裁の発言[nL4N3UP0BM]が伝わりました。氷見副総裁の発言はタカ派的ではないと受け止められ、ドル高/円安が進行、日経平均がプラス圏に浮上するきっかけとなりました。
両院議員総会では冒頭で石破茂首相(自民党総裁)が「地位にしがみつくつもりはまったくない」、「責任から逃れることなく、しかるべき時にきちんとした決断をする」となどと述べました。市場では「石破首相の辞任を求める声は、世論や自民党内でも思っていたほど盛り上がらず、総会はあまり注目されなかったようだ」(国内証券ストラテジスト)との受け止めがありました。
TOPIXは0.61%高の3081.88ポイントで取引を終えました。東証プライム市場指数は前営業日比0.61%高の1586.49ポイントでした。プライム市場の売買代金は3兆9534億4300万円。東証33業種では、値上がりは卸売、海運、証券、ガラス・土石製品など29業種、値下がりは機械、その他製品など4業種でした。
主力株では、ファーストリテイリング<9983.T>が小幅高となったほか、三菱商事<8058.T>、三井物産<8031.T>、伊藤忠商事<8001.T>などの商社株が2─4%超高としっかりでした。アドバンテスト<6857.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>はさえませんでした。新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.45%安の774.48ポイントと続落しました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1012銘柄(62%)、値下がりは555銘柄(34%)、変わらずは51銘柄(3%)でした。
R7.9.3 東京株式市場・大引け=反落、米ハイテク株安を嫌気 金融株弱い
[東京 3日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は反落し、前営業日比371円60銭安の4万1938円89銭で取引を終えました。米ハイテク株安を嫌気し、国内の関連株を中心に下げが強まりました。日銀の利上げへの思惑が後退し、金融株は弱かった。
日経平均は224円安で寄り付いた後、一時447円安の4万1863円に下落しましたが、押し目買いを支えに下げ渋り大引けにかけては安値圏でのもみ合いとなりました。
米ハイテク株安となる中、ソフトバンクグループ<9984.T>や東京エレクトロン<8035.T>といったハイテク株が軟調で、指数の重しになりました。日米で金利が上昇基調にあることも嫌気されました。一方、前日の氷見野良三日銀副総裁の発言を受け、日銀は利上げを急がないとの思惑から銀行や保険といった金融株が売られました。日経平均に比べ、TOPIXの下落率は大きかったです。
為替相場は前日の大引け時点より円安方向だったが、自動車や機械といった輸出株も軟調でした。米国で連邦控訴裁判所が先週、政権が掲げる関税措置の大半が違法との判決を下すなど関税を巡る扱いの不透明感が嫌気されたほか、国内政治・財政への懸念から円安を好感しにくくなっているとの声もありました。
市場では、季節性の面から9月は例年、株安の傾向が意識されやすいとして「レーバーデーを終えてから下がり始めるアノマリー通りの動き」(東海東京調査センターの平川昇二チーフグローバルストラテジスト)との見方もありました。一方、11―12月に上昇する傾向も確認されており「準備期間と言える」(平川氏)との声が聞かれました。
TOPIXは1.07%安の3048.89ポイントで取引を終えました。東証プライム市場指数は前営業日比1.07%安の1569.48ポイントでした。プライム市場の売買代金は5兆0079億1400万円でした。東証33業種では、値上がりはパルプ・紙やゴム製品、陸運など9業種、値下がりは銀行や保険、海運など24業種でした。
東京電力HLDG<9501.T>や三菱重工業<7011.T>が軟調。マネックスグループ<8698.T>はさえなかった。一方、インターメスティック<262A.T>が大幅高。内田洋行<8057.T>は堅調でした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が3日続落し、2.2%安の757.48ポイントとなりました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが740銘柄(45%)、値下がりは832銘柄(51%)、変わらずは47銘柄(2%)でした。
R7.9.4 東京株式市場・大引け=反発、FRB利下げ観測や米ハイテク株高で
[東京 4日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は反発し、前営業日比641円38銭高の4万2580円27銭で取引を終えました。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測や米ハイテク株高の流れを好感しました。自民党総裁選の前倒しの是非が注目される中、個別株の一角で思惑買いの動きもみられました。半導体関連株や電線株が堅調に推移し、個別ではソフトバンクグループ<9984.T>が6%超高で日経平均を1銘柄で188円程度押し上げました。
日経平均は1日を通して堅調に推移しました。154円高で寄り付いた後、後場で669円高の4万2608円80銭の高値を付けました。時間外取引での米株先物がプラス圏で推移したことや、外為市場でドル高/円安が進行したことも株価を下支えしました。
主力株では、ソフトバンクグループが6.4%上昇。「8月に日経平均が最高値更新した際もソフトバンクグループが原動力だった。高値更新に向けた期待が高まっている」(国内証券ストラテジスト)との声もありました。アドバンテスト<6857.T>、フジクラ<5803.T>は4─5%高となりました。
マリン・ストラテジーズの香川睦シニアマーケットアナリストは「良好な外部環境のほか、自民党総裁選の前倒しの判断が決まる8日を前に、変化への期待も支えとなっているようだ」との見方を示しました。
そのほか個別では、鹿島<1812.T>、清水建設<1803.T>などの建設業もしっかり。自民党総裁選が意識されているとの見方がありました。不適切会計を巡る発表を受けて、ニデック<6594.T>はストップ安売り気配となりました。ローム<6963.T>、キーエンス<6861.T>もさえませんでした。
TOPIXは1.03%高の3080.17ポイントで取引を終えました。東証プライム市場指数は前営業日比1.03%高の1585.61ポイントでした。プライム市場の売買代金は4兆3217億3500万円でした。
東証33業種では、値上がりは銀行、非鉄金属、保険、情報・通信など29業種、鉱業、ゴム製品など4業種が値下がりしました。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.29%高の759.64ポイントと、4営業日ぶりに反発しました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1126銘柄(69%)、値下がりは437銘柄(26%)、変わらずは56銘柄(3%)でした。
R7.9.5 東京株式市場・大引け=続伸、4万3000円回復 米株高や米大統領令が追い風
[東京 5日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続伸し、前営業日比438円48銭高の4万3018円75銭で取引を終えた。米国市場でハイテク株高となったことや、トランプ米大統領が日本から輸入する自動車などに対する関税引き下げに関する大統領令に署名したことが好感された。一方、日本時間の今晩に米雇用統計の発表、週明けに自民党の総裁選前倒しの判断が判明することを控え、手掛けにくさも意識された。
日経平均は朝方に先物の買いが膨らんで400円高で寄り付いた。その後も一時640円高の4万3220円に上値を伸ばし、8月20日以来の水準に上昇した。米株高が好感されたほか、日米合意の大統領令署名を受けて関税を巡る不透明感が和らいだ。自動車を含む輸送用機器や鉄鋼、機械、精密機器といった輸出関連株が総じて堅調だった。終値で4万3000円を上回るのは8月19日以来となる。
一方、買い一巡後は利益確定売りが上値を抑えた。日米でのイベントを控えた持ち高調整も観測された。米国市場では半導体株が高かったが、国内の関連株はまちまちだった。
米国では日本時間の今晩に8月の米雇用統計の発表がある。市場では、予想通りの結果が理想的とみられている。予想より弱い場合、米景気懸念がぶり返しかねず、強い場合は早期利下げへの思惑が後退し得る。国内では週明け8日に、自民党の総裁選前倒しの判断が判明する。仮に総裁選前倒しとなれば、景気刺激策への期待が生じやすいとみられている。
日本株は8月に大きく上昇したことでバリュエーションが高まり、高値警戒感がつきまとう。一方、売り込む材料も特段ないとみられており、市場では「イベントを無難に通過すれば、安心感が生じて緩やかな株高は続くのではないか」(東京海上アセットマネジメントの若山哲志株式運用部シニアファンドマネージャー)との声が聞かれた。
TOPIXは0.82%高の3105.31ポイントで取引を終えた。東証プライム市場指数は前営業日比0.82%高の1598.56ポイントだった。プライム市場の売買代金は4兆5583億5200万円だった。東証33業種では、値上がりは精密機器や鉄鋼、ゴム製品など25業種、値下がりは空運や石油・石炭製品、倉庫・運輸関連など8業種だった。
米大統領令を好感し、マツダ<7261.T>が年初来高値を更新した。キオクシアホールディングス<285A.T>は16%高と急騰。米国の半導体規制強化を受けて競合に対し相対的に有利になるとの思惑が出た。フジクラ<5803.T>は年初来高値を更新した。一方、リクルートホールディングス<6098.T>やコナミグループ<9766.T>は軟調だった。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.92%高の766.63ポイントと続伸した。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1087銘柄(67%)、値下がりは469銘柄(28%)、変わらずは63銘柄(3%)だった。
神経質、自民党総裁選前倒しなら株高か=来週の東京株式市場
[東京 5日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、国内政治をにらんで神経質な展開が予想されている。自民党総裁選の前倒し実施の可能性が出てくれば、政局不安が後退し期待先行の買いが入るとの声が聞かれる。米国の経済指標へも関心は高いが、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測に大きく影響する内容でなければ波乱要因とはならない見通し。
日経平均の予想レンジは4万2500円―4万3500円。
石破茂首相の進退を巡り、自民党の総裁選挙管理管理委員会は先月、国会議員や都道府県連代表が臨時総裁選を要求する場合は書面の提出を求め、提出日(期限)が週明け8日となっている。
総裁選の実施が濃厚になれば政治に対する不透明感が後退する上、政局を脱することで新たな経済対策の策定などへの期待が生じやすいとの声が出ている。「政局の変化をマーケットはポジティブに受け止めるとみられ、株価は上昇しやすいのではないか」(フィリップ証券のアナリスト・笹木和弘氏)という。
きょう公表される8月米雇用統計は、前回の結果が労働市場の減速を示す内容だっただけに注目度は高い。足元では、景況感の悪化を示唆する指標が発表されると「先々の景気悪化懸念が強まり、株安となる場面もみられる」(国内証券・ストラテジスト)との声も出ている。
ただ、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ決定がほぼ確実視される中、「市場予想並みであれば、大きな波乱はなく通過しそうだ」(国内運用会社・ポートフォリオマネージャー)との見方が多い。
米国では11日にも消費者物価指数(CPI)公表を控えているが、「市場参加者はどちらかというと労働市場に注目している」(フィリップ証券・笹木氏)ため、波乱要因にはなりにくいとみられる。
物色面では、9月は配当取りの動きが出やすく内需のバリュー株を中心に買いが入る可能性が高い。週末にメジャーSQ(特別清算指数)を控えており、需給要因の売り買いが活発になることも予想される。
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