東京ロイター

関税交渉めぐり神経質な展開、需給面の思惑も=今週の東京株式市場
[東京 7日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、神経質な展開が想定される。相互関税の上乗せ分の猶予期限が9日に迫る中、日米通商協議をめぐる報道に一喜一憂しやすい。今週はETF(上場投資信託)による分配金捻出のための売り、オプションSQ(特別清算指数)を控えているため、需給を巡る思惑も交錯しそうだ。
日経平均の予想レンジは3万8900円─3万9900円
ベセント米財務長官は6日、複数の通商合意に近づいており、数日中にいくつかの大きな発表があるとの見方を示した[nL6N3T3054]。市場では期限が延長されるとの見方があるものの「不透明要因が多すぎて手掛けづらい」(国内証券)との声が聞かれる。物色は個別材料株や関税の影響を受けづらい内需株が中心となりやすい。
今週はETFよる分配金捻出のための売り、オプションSQ(特別清算指数)の算出といったイベントも控えており、思惑的な売買が膨らんで指数が乱高下する可能性もある。日経平均が4万円台で定着するのは持ち越しとなりそうだ。
大和証券の林健太郎シニアストラテジストは「外部環境が不透明となりながらも、海外投資家は自己資本利益率(ROE)の向上など、日本株を再評価している」と話す。4─6月期決算への期待もあり、株価が大崩れするシナリオは考えづらいという。
このほか、今週は国内で6月の景気ウォッチャー調査、米国で6月17─18日開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が公表される。
R7.7.7 東京株式市場・大引け=3日ぶり反落、米関税にらみ上値重い 中国関連安い
[東京 7日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比223円20銭安の3万9587円68銭と、3営業日ぶりに反落して取引を終えました。**9日に米相互関税の上乗せ分の停止期限を控える中、警戒感から上値の重い展開が続きました。安川電機<6506.T>が前週末に業績見通しの下方修正を公表したことを受け、中国関連と目される銘柄の一部が軟調でした。
日経平均は前営業日比81円安と小安くスタートした後、下げ幅を拡大し、270円以上値下がりしました。朝方は半導体関連に買いが入ったものの、上昇の勢いは続かず弱含みとなりました。その他、安川電機の株価下落を受けて中国関連の一角が値下がりしました。後場は様子見ムードが広がり一進一退の展開が続きましたが、大引けにかけてやや売りが強まり、終盤に286円安の3万9524円25銭で安値を付けました。
朝方に発表された5月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は前年比2.9%減少し、5カ月連続でマイナスとなりました。しかし、相場への影響は限定的でした。
丸三証券の丸田知宏投資情報部長は、「商いも膨らんでおらず、個人投資家を中心に様子見ムードが続いています。日米関税交渉の詳細がはっきりするまでは手掛けにくく、相場の明確な方向感が出づらいのではないでしょうか」と話しました。一方、外部環境の不透明感は高いものの、「AI(人工知能)需要の高まりの恩恵を受ける銘柄群は物色する動きが見られており、全体的に悲観に傾いているわけではなさそうだ」と指摘しています。
**TOPIXは0.57%安の2811.72ポイントで取引を終了。**プライム市場指数は0.57%安の1447ポイントでした。東証プライム市場の売買代金は3兆4347億8300万円でした。東証33業種では、サービス、小売、陸運など8業種が値上がり。銀行、非鉄金属、鉄鋼など24業種は値下がりし、その他製品は変わらずでした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が1.05%高の718.07ポイントと、続伸しました。
個別では、安川電機が10%超安とプライム市場の値下がり率第2位。**SMC<6273.T>やファナック<6954.T>**も軟調でした。
一方、4-6月の個別出荷額が全体で四半期最高と発表したディスコ<6146.T>は3%超高で堅調でした。指数寄与度の大きい**東京エレクトロン<8035.T>**は小幅安、**アドバンテスト<6857.T>**は小幅高でした。
プライム市場の騰落数は、値上がり597銘柄(36%)に対し、値下がりが968銘柄(59%)、変わらずが62銘柄(3%)でした。
終値詳細

R7.7.8 東京株式市場・大引け=反発、対日関税巡り最悪シナリオ回避で安心感
[東京 8日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比101円13銭高の3万9688円81銭と反発して取引を終えました。**米政府の対日関税を巡り、最悪のシナリオは回避できたとの見方から、景気敏感株を中心に買いが広がりました。為替相場でドル高/円安が進行したことも、株価を押し上げる支援材料となりました。買いが一巡した後は、ETF(上場投資信託)による分配金捻出のための売りが意識され、上げ幅を縮小する展開となりました。
日経平均は小幅続落で寄り付いたものの、間もなくプラス圏に転換し、一時228円59銭高の3万9816円27銭まで上昇しました。トランプ米大統領は7日、日本と韓国からの輸入品に対し、8月1日から25%の関税を課すと表明しましたが、4月に公表された税率24%とほぼ変わらなかったことや、交渉期限が実質的に延期されたことで、市場に安心感が広がりました。買いが一巡した後は、ETFの分配金捻出売りなどの需給を巡る思惑が重しとなり、上げ幅を縮小しました。
りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストは、「いったん不確実性が晴れたという意味でリスクオンムードに傾いた」と分析しています。しかし、8月1日までは国内での参議院選挙や日米の企業決算など重要なイベントが控えているため、指数は横ばい圏で推移し、物色は個別株中心の相場になりやすいとみています。
**TOPIXも反発し、0.17%高の2816円54銭で取引を終えました。**東証プライム市場指数は前営業日比0.17%高の1449円51銭でした。プライム市場の売買代金は4兆5433億4900万円でした。東証33業種では、非鉄金属、精密機器、ガラス・土石製品、鉱業など20業種が値上がり。医薬品、食料品など13業種は値下がりしました。
新興株式市場では、東証グロース市場250指数が1.98%高の732円29銭と、3日続伸しました。
個別では、アドバンテスト<6857.T>が2.53%高、TDK<6762.T>が3.03%高となりました。中外製薬<4519.T>は3.33%安でした。住友電気工業<5802.T>は7.97%高、フジクラ<5803.T>は5.53%高でした。前日に社債発行で7500億円規模の資金調達を発表した日産自動車<7201.T>は6.35%安で、東証プライム市場の値下がり率第2位となりました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1083銘柄(66%)に対し、値下がりは484銘柄(29%)、変わらずは60銘柄(3%)でした。
終値詳細
R7.7.9 東京株式市場・大引け=続伸、円安が支え 指数の方向感は乏しい
[東京 9日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比132円47銭高の3万9821円28銭と、続伸して取引を終えました。**ドル/円相場で円安が進んだことが株価を支えました。一方、ハイテク銘柄の一部への利益確定売りが上値を抑える場面もあり、指数の方向感は乏しかったです。
日経平均は前営業日比253円高と堅調にスタートした後、マイナス圏に沈み、一時115円安となる場面がありました。朝方は半導体関連株に買いが入り、相場を押し上げたものの、次第に利益確定売りが優勢となりました。しかし、その後は再びプラス圏に浮上し、後場は一進一退の展開でした。指数全体は小動きの中、個別材料を手掛かりにした物色は活発でした。
市場では「米関税の動向など不透明な要素は多いものの、足元では円安が支えとなり、日経平均は底堅さを維持しているようだ」(東海東京インテリジェンス・ラボのシニアアナリスト・澤田遼太郎氏)との声が聞かれました。一方、目先は「今月下旬から本格化する企業の決算発表で、関税の影響による業績への下押し圧力が確認された場合は調整が出やすい」(澤田氏)との指摘もありました。
**TOPIXは0.41%高の2828円16銭で取引を終了。**プライム市場指数は0.41%高の1455円49銭でした。東証プライム市場の売買代金は4兆2947億4700万円でした。東証33業種では、石油・石炭製品、鉱業、その他金融など27業種が値上がり。非鉄金属、機械、その他製品など6業種は値下がりしました。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が1.16%高の740円75銭と、4日続伸しました。
個別では、ソシオネクスト<6526.T>、ディスコ<6146.T>、東京エレクトロン<8035.T>が値下がりしました。一方、決算内容が好感されたパルグループホールディングス<2726.T>、**吉野家ホールディングス<9861.T>は大幅高。香港の投資ファンド、オアシス・マネジメントによる大量保有が明らかになったカシオ計算機<6952.T>**は5%超高となりました。**トヨタ自動車<7203.T>**は小幅高、**オムロン<6645.T>**は6%超高でした。
プライム市場の騰落数は、値上がり1259銘柄(77%)に対し、値下がりが315銘柄(19%)、変わらずが52銘柄(3%)でした。
終値詳細
R7.7.10 東京株式市場・大引け=3日ぶり反落、不透明要因重なり売られる
[東京 10日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比174円92銭安の3万9646円36銭と、3営業日ぶりに反落して取引を終えました。**日米関税交渉や参議院選挙の行方を巡る不透明感、日米企業の決算への懸念などが意識されました。指数寄与度の高い銘柄の一部や主力銘柄が売られ、個別材料株、特に決算発表を控える銘柄が物色の中心となりました。
日経平均は25円安と小幅安でスタートした後、下げ幅を拡大し、後場には290円33銭安の3万9530円95銭で本日の安値をつけました。外部環境を巡る不透明感のほか、足元のドル安/円高進行や、時間外取引での米株先物の下落も相場の重しとなりました。ETF(上場投資信託)分配金捻出のための売りが上値を抑えたとの見方も聞かれました。
T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフストラテジストは、「投資家心理の根底には不安がある。関税交渉の行方をみると、楽観的にはなれない」と話しています。日経平均が4万円台で定着するには、関税撤廃や製造業の好決算といった新たな材料が必要で、「可能性は低いだろう」と指摘しました。
個別では、引け後に決算発表を控えているファーストリテイリング<9983.T>が0.89%安となりました。同社株は一日を通して不安定な値動きとなり、日経平均の上値を抑える要因となりました。そのほか、東京エレクトロン<8035.T>、TDK<6762.T>、信越化学工業<4063.T>が売られました。半面、前日に好決算を発表したディスコ<6146.T>は4%超高。アドバンテスト<6857.T>、**ソフトバンクグループ<9984.T>**もしっかりとした値動きでした。
**TOPIXは0.56%安の2812円34銭で取引を終了。**東証プライム市場指数は前営業日比0.56%安の1447円37銭でした。プライム市場の売買代金は4兆7738億9600万円でした。東証33業種では、電気・ガス、その他製品、石油・石炭製品、海運など26業種が値下がり。証券・商品先物取引、精密機器、建設業など7業種が値上がりとなりました。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が1.43%高の751円35銭と、5日続伸しました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが522銘柄(32%)、値下がりは1040銘柄(63%)、変わらずは64銘柄(3%)でした。
終値詳細
R7.7.11 東京株式市場・大引け=小幅続落、ファーストリテが320円押し下げ TOPIX反発
[東京 11日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比76円68銭安の3万9569円68銭と小幅に続落して取引を終えました。朝方は底堅く推移しましたが、指数寄与度の高いファーストリテイリング<9983.T>**が前日発表した決算を嫌気され大幅安となり、日経平均を320円程度押し下げました。一方、米国株式市場でバリュー株が底堅く推移した流れを引き継ぎ、TOPIXはプラスで引けました。
日経平均は240円高で寄り付いた後、一時311円高の3万9957円80銭で高値をつけましたが、その後失速。後場には148円安の3万9497円70銭でこの日の安値をつけました。トランプ米大統領が10日、NBCニュースに対し、ほとんどの貿易相手国に一律15%または20%の関税を課す計画だと述べたことが伝わり、嫌気されました。週末を控えた手仕舞い売りの動きも広がりました。
SBI証券の鈴木英之投資調査部長は、「日経平均はファーストリテイリングの1銘柄で軟調となっているが、実体はTOPIXが示しているだろう」と話しました。幅広い銘柄で買いが広がっており、地合いは悪くないとの見方を示しました。
**TOPIXは反発し、0.39%高の2823円24銭で取引を終えました。**東証プライム市場指数は前営業日比0.41%高の1453円35銭でした。プライム市場の売買代金は4兆5653億1000万円でした。東証33業種では、海運、パルプ・紙、鉄鋼、証券など25業種が値上がり、電気・ガス、非鉄金属、サービスなど8業種が値下がりしました。前日の米国株式市場で金融や空運などのバリュー株が底堅く推移した流れを引き継ぎました。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.38%安の748円48銭と、6営業日ぶりに反落しました。
主力株では、ファーストリテイリングが7日続落し、6.92%安となりました。来期への対日関税の影響を警戒した売りが先行しました。そのほか、**ソフトバンクグループ<9984.T>、リクルートホールディングス<6098.T>、フジクラ<5803.T>**もさえませんでした。
半面、ダイキン工業<6367.T>が5.44%高、TDK<6762.T>が3%高。**東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>**もしっかりとした値動きでした。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1152銘柄(70%)に対し、値下がりは420銘柄(25%)、変わらずは54銘柄(3%)でした。
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