東京ロイター

不安定、関税懸念再燃のリスク 米エヌビディア決算に関心=今週の東京株式市場
[東京 26日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、不安定な地合いが意識されそうだ。日米の金利上昇への警戒感があることに加え、トランプ米大統領が欧州連合(EU)からの輸入品に50%の関税を課す意向を示し、米高関税への警戒感が再び強まるリスクがある。一方、米半導体大手エヌビディア<NVDA.O>の決算発表(28日、日本時間29日朝)で強気な見通しが示されれば、株価水準が切り上がる可能性もある。
日経平均の予想レンジは3万6000円─3万8000円。
市場では、日経平均は「4月上旬の急落から急ピッチで戻ってきた後でもあり、さらに上に押し上げるには新たな材料が必要」(東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英チーフストラテジスト)との声が聞かれる。
関税を巡る不透明感が、再び強まりかねない。トランプ米大統領は23日、ソーシャルメディアへの投稿で、EUからの輸入品に50%の関税を課す意向を示し、ドルが売られた。その後、当初の6月1日からとの主張を7月9日からに修正する中、ドルは買い戻されており、関連報道に振らされる状況となっている。トランプ氏は米アップル<AAPL.O>のスマートフォン「iPhone」が海外製なら25%の関税を支払う必要があるとも主張した。
米国で減税法案を巡る議論が進む中、米国債の格下げが重なったことが超長期を中心に米金利の上昇圧力となっており、国内金利も上振れ気味の推移が警戒されている。金利上昇は株価にネガティブな上、米金利上昇と為替のドル安の同時進行となれば「米国売り」の連想からリスクオフが意識されかねない。
一方、週の半ばにはエヌビディア決算がある。改めて強気の見通しが示される場合、国内の関連株の上昇を通じて日経平均が押し上げられる可能性がある。「足元の四半期はマイルドな見立てとなるかもしれないが、中東でのAI需要への思惑もあり、強気の見通しが示されるのではないか」(岩井コスモ証券の斉藤和嘉シニアアナリスト)との見方がある。
米相互関税の発表前の日経平均のレンジ下限3万8000円から上方向では、戻り待ちの売りが出やすいとみられている。「関税協議が進まない限り、相互関税発表前の元のレンジ内に定着することはハードルが高い」(東海東京の長田氏)との見方は根強い。日米の貿易交渉は3回目が23日に行われたが、具体的な進展は伝わっていない。
R7.5.26 東京株式市場・大引け=続伸、米欧交渉期限延長で警戒感和らぐ
[東京 26日 ロイター] – 東京株式市場で**日経平均は、前営業日比371円06銭高の3万7531円53銭と、続伸して取引を終えた。**トランプ米大統領が欧州連合(EU)との通商交渉の期限を延長したことを受けて、投資家心理が改善し、日本株はしっかりした展開となった。外為市場ではドルが不安定に推移したが、142円台前半で円高進行が一服し、円安方向に振れたことも支えとなった。
**日経平均は、前営業日比48円高と小幅高でスタートした後、次第に上げ幅を広げた。**指数寄与度の大きい半導体関連株が堅調で、相場を押し上げた。個別材料を手掛かりにした物色もみられた。今晩は米英市場が休場となるため、後場はもみ合う場面もあったが、ドルが142円台後半へ上昇すると日経平均は上値を追う展開となり、高値引けとなった。
**セクター別では、鉄鋼が値上がり率トップ。**トランプ米大統領が日本製鉄<5401.T>による米USスチール買収計画について交流サイト(SNS)で承認を示唆したことが好感され、日本製鉄株が上昇したことが寄与した。
市場では「米国の対欧州関税交渉が延期されたことで投資家のセンチメントは前向きになった。ただ、日本株が一段高となるためには、企業業績の下振れ懸念を後退させるための好材料が必要だろう」(SMBC信託銀行の投資調査部長・山口真弘氏)との声が聞かれた。山口氏は「トランプ氏の一つひとつの発言に市場は冷静に対応している印象で、株安リスクは小さくなっている」と指摘。目先の日経平均は3万6000円―3万8000円を中心に推移するのではないか、とみている。
**TOPIXは0.6%高の2751.91ポイントで取引を終了。**プライム市場指数は0.6%高の1416.25ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は3兆4503億4700万円だった。東証33業種では、鉄鋼、空運、情報・通信など29業種が値上がり。石油・石炭製品、金属製品、卸売など4業種は値下がりした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が1.55%高の723.75ポイントと反発した。
個別では、**日本製鉄が2%超高。**半導体株も買われ、東京エレクトロン<8035.T>が2%超高、アドバンテスト<6857.T>が4%超高だった。一方、アップル関連と目される銘柄は安く、TDK<6762.T>、日東電工<6988.T>、太陽誘電<6976.T>が小幅安だった。ツルハホールディングス<3391.T>は2%超安、ウエルシアホールディングス<3141.T>は2%超高だった。
プライム市場の騰落数は、値上がり1085銘柄(66%)に対し、値下がりが482銘柄(29%)、変わらずが64銘柄(3%)だった。

R7.5.27 東京株式市場・大引け=3日続伸、金利低下や円安が追い風
[東京 27日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比192円58銭高の3万7724円11銭と3日続伸して取引を終えました。**前日の米国市場が休場で手掛かり難だった一方、国内金利が低下基調だった上、為替が円安方向に振れたことが投資家心理を支援しました。
日経平均は朝から動意に乏しく前場はマイナスで終えましたが、後場に入って国内金利が低下し、ドル/円が上昇基調を強めると、先物にややまとまった買いが入りプラスに転じました。
市場では「金利低下が安心材料になった」(大和証券の坪井裕豪日米株チーフストラテジスト)との声が聞かれました。円安も追い風になり、輸送用機器がプラスに転じ、機械が上げ幅を拡大。日経平均は一時237円高の3万7769円05銭に上昇しました。
ロイターが27日、財務省が2025年度国債発行計画の年限構成を近く再検討すると報じたことを受け、円債市場で金利低下圧力が強まりました。同報道では、投資家の需要減衰が想定以上なら超長期債の減額も視野に入れると伝えています。
株式市場では、目先は米半導体大手エヌビディア<NVDA.O>の決算や日米貿易交渉に関心が寄せられています。3万8000円から上方向では戻り売り圧力の強まりが見込まれますが、「米関税の緩和の流れが続けば、上昇のモメンタム(勢い)がつくのではないか」(大和の坪井氏)との見方が聞かれました。
**TOPIXは0.64%高の2769.49ポイントで取引を終えました。**東証プライム市場指数は前営業日比0.64%高の1425.32ポイントでした。プライム市場の売買代金は3兆3198億9100万円と膨らみませんでした。東証33業種では、値上がりはその他製品や非鉄金属、保険など25業種、値下がりは建設や鉄鋼、陸運など8業種でした。
**TDK<6762.T>は堅調。**三菱重工業<7011.T>や三菱電機<6503.T>は年初来高値を更新しました。商品の値上げを発表したキユーピー<2809.T>は買われました。一方、ディスコ<6146.T>、リコー<7752.T>は軟調。オリエンタルランド<4661.T>はさえませんでした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が1.79%高の736.72ポイントと続伸しました。
プライム市場の騰落数は、値上がりが1115銘柄(68%)に対し、値下がりは437銘柄(26%)、変わらずは79銘柄(4%)でした。
市場終値詳細
R7.5.28 東京株式市場・大引け=4日ぶり反落、一時3万8000円回復もイベント控え伸び悩み
[東京 28日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比1円71銭安の3万7722円40銭と、4営業日ぶりに反落しました。**前日の米国株高や為替の円安基調が支えとなり、日経平均は一時、節目の3万8000円を回復しました。ただ、買いが一巡した後は戻り売りが出たほか、日本時間の明日朝方に米エヌビディアの決算発表を控えて次第に様子見ムードも広がり、後場は伸び悩みました。
**日経平均は、前営業日比370円高と堅調にスタートした後、上げ幅を広げ、一時454円高の3万8178円73銭まで上昇しました。**前日の米市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が上昇したことが好感され、指数寄与度の大きい半導体株が買われ、相場を押し上げました。個別材料を手掛かりにした物色も活発となりました。ただ、買いが一巡した後は伸び悩む展開。後場終盤には為替の円高進行が重しとなったほか、明日のエヌビディア決算を前にポジション調整もみられました。
市場では「米欧の関税交渉が進んでいることや、日米金利の低下などは追い風ではあるが、日経平均は3万8000円台に入るとどうしても上値の重さが意識され、買い上がっていくには材料が不足している」(岡三証券・シニアストラテジスト、大下莉奈氏)との声が聞かれました。米エヌビディア決算については、「経営陣から目先に対して前向きな発言が出てくるかが焦点で、ポジティブなコメントが確認されれば日本市場の半導体株も買われそうだ」(大下氏)との指摘がありました。
**TOPIXは0.02%高の2769.51ポイントで取引を終了。**プライム市場指数は0.05%高の1425.37ポイントでした。東証プライム市場の売買代金は4兆2870億9700万円でした。東証33業種では、保険、石油・石炭製品、水産・農林など17業種が値上がり。金属製品は変わらずで、サービス、鉄鋼、精密機器など15業種は値下がりしました。
東証グロース市場250指数は0.84%高の742.94ポイントと3日続伸しました。
個別では、**牧野フライス製作所<6135.T>が11%高。**同社は27日、アジア系投資ファンドのMBKパートナーズから法的拘束力のある買収提案を受領したと発表し、手掛かりになりました。日産自動車<7201.T>は0.3%安。同社が借り入れやさらなる資産売却を通じて1兆円規模の資金調達を検討していると伝わり、後場に一時4%超高となりました。米投資ファンドのKKRや日本産業推進機構(NSSK)から買収提案を受けていることが分かったと一部で報じられた太陽ホールディングス<4626.T>はストップ高。指数寄与度の大きいアドバンテスト<6857.T>は1%超高、東京エレクトロン<8035.T>は小幅安。ソフトバンクグループ<9984.T>は小幅高でした。
プライム市場の騰落数は、値上がり792銘柄(48%)に対し、値下がりが763銘柄(46%)、変わらずが76銘柄(4%)でした。
市場終値詳細
R7.5.29 東京株式市場・大引け=反発、米関税差し止め命令やエヌビディア株高好感
東京株式市場概況:日経平均が大幅反発、3カ月ぶり高値
[東京 29日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比710円58銭高の3万8432円98銭と反発して取引を終えました。**米国際貿易裁判所がトランプ政権による関税の大部分の差し止めを命じたことや米半導体大手エヌビディア<NVDA.O>株が決算発表後に大幅高となったことを好感した買いが優勢となりました。終値ベースで3カ月ぶり高値となりました。
**日経平均は324円高で始まった後も上げ幅を拡大し、**市場では「先物勢が買い戻しに動いた」(野村証券の北岡智哉チーフエクイティストラテジスト)との声が聞かれました。午後には一時731円高の3万8454円07銭に上値を伸ばしました。
関税差し止め命令の報道を受けてドル/円が上昇し、自動車など輸出株を中心に投資家心理の好転につながりました。エヌビディア株が決算発表後の時間外取引で4%超上昇したことは、東京エレクトロン<8035.T>など国内の半導体関連株の上昇を促しました。データセンター向け光ファイバーや関連製品の需要が見込まれるフジクラ<5803.T>など電線株にも買いが波及しました。
時間外取引の米株先物の堅調な推移も、相場の支援材料になりました。一方、関税差し止めについてトランプ政権は直ちに控訴しており、引き続き不透明感は残ります。
米連邦準備理事会(FRB)が28日公表した5月6─7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨については「景気が悪化しないと利下げに動かない印象を与える」(野村の北岡氏)との見方も聞かれ、株高の反動への警戒感もくすぶります。
**TOPIXは1.53%高の2812.02ポイントで取引を終了。**東証プライム市場指数は前営業日比1.54%高の1447.31ポイントでした。プライム市場の売買代金は4兆7521億9800万円でした。東証33業種では、値上がりは非鉄金属や輸送用機器、保険など30業種、値下がりは陸運や海運、パルプ・紙の3業種でした。
**トヨタ自動車<7203.T>が大幅高、エーザイ<4523.T>はしっかりでした。**NTT<9432.T>傘下のNTTドコモが子会社化する方針を固めたと伝わった住信SBIネット銀行<7163.T>はストップ高となりました。一方、バンダイナムコホールディングス<7832.T>やベイカレント<6532.T>は軟調でした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.34%安の740.39ポイントと4日ぶりに反落しました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1117銘柄(68%)、値下がりは437銘柄(26%)、変わらずは71銘柄(4%)でした。
市場終値詳細
R7.5.30 東京株式市場・大引け=日経平均は反落、関税差し止め一時停止を嫌気 円高への警戒感も
東京株式市場概況:日経平均反落、関税差し止めの一時停止と円高が重しに
[東京 30日 ロイター] – **東京株式市場で日経平均は、前営業日比467円88銭安の3万7965円10銭と反落して取引を終えました。**前日の大幅高のきっかけになった米国際貿易裁判所による関税差し止めが一時停止されたことが嫌気されたほか、ドル/円が円高方向に振れたことが警戒され、売り優勢となりました。ただ、後半にかけて為替相場が落ち着くとともに、全般は戻り歩調となりました。
ドル/円は一時143円半ばと前日の大引け時点から約2円、円高に振れる場面があり、これが投資家心理の重しとなりました。しかし、その後、為替相場が落ち着くとともに、輸出関連株の一部が買い直されました。
市場では「円高を警戒する声は多いものの、地合いは悲観するほど悪くはない。グロース市場が堅調に推移しており、個別物色の動きは継続しているようだ」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との声が聞かれました。
また「為替相場が急速に円高に振れたことで、企業業績に影響が大きいとみられる輸出関連株が売られる展開となりました。来週は米国で重要経済統計の発表を控えているため、後半は見送りムードが広がった」(野村証券・投資情報部ストラテジストの澤田麻希氏)との指摘もありました。
**TOPIXは0.37%安の2801.57ポイントで取引を終えました。**東証プライム市場指数は前営業日比0.38%安の1441.88ポイントでした。プライム市場の売買代金は6兆5106億6700万円でした。
東証33業種では、値上がりは医薬品、水産・農林業、電気・ガス業など19業種、値下がりはその他製品、電気機器、精密機器など13業種でした。空運業は変わらずでした。
個別では、**東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>などの半導体関連株が軟調に推移したほか、任天堂<7974.T>もさえない展開でした。**一方、安く始まったトヨタ自動車<7203.T>が後半にプラスに転換したほか、NTT<9432.T>が年初来高値を更新しました。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.66%高の745.24ポイントと、上昇しました。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが939銘柄(57%)、値下がりは632銘柄(38%)、変わらずは59銘柄(3%)でした。
市場終値詳細
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