東京ロイター

調整含み、円高進行に警戒 決算一巡で材料難=今週の東京株式市場
[東京 19日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、調整含みの展開が想定されている。日経平均は節目の3万8000円台を一時回復したが、短期間で急上昇した反動で利益確定売りは続きそうだ。大手格付け会社による米国の格下げも警戒され、日本株はドル/円の動向に神経質な動きとなる見通し。企業の決算発表が一巡して材料が少なくなることも、相場を押し上げる要因の不足を生じさせ、上値の重さにつながりそうだ。
日経平均の予想レンジは3万6000円―3万8000円。
米トランプ関税ショックで日経平均は4月初旬に3万1000円割れとなったが、先週は一時3万8500円近辺まで水準を回復した。ただ、テクニカル面では買われすぎを示すサインも点灯している。
市場では「プライム市場の騰落レシオは足元135%を超えており、目先はいったん日柄調整が続きそうだ」(国内証券・アナリスト)との声が聞かれる。騰落レシオは一般的に120%を超えると買われすぎとされる。
為替動向を注視する声も聞かれる。格付け会社ムーディーズは16日、米国の格付けを最高位の「AAA」から「AA1」に格下げした。見通しは「安定的」に変更した[nL6N3RO0TT]。
これを受け、足元のドルは145円近辺で推移しているが、「トヨタ自動車<7203.T>などは想定為替レートを1ドル=145円としており、ここから一気に円高が進むと業績懸念につながりやすい」(国内証券・チーフストラテジスト)という。
フィリップ証券のアナリスト・笹木和弘氏は「ドル/円が急速に円高方向に振れるような場面では、日経平均も値幅を伴って調整しやすい」と指摘。今週開催される主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に併せ、日米財務相会談が開かれるとの観測もあり、為替は円高方向に振れやすくなっているという。
企業の決算発表が一巡したことで材料不足となり、積極的な買いは手控えられそうだ。フィリップ証券・笹木氏は「材料難の中でどちらかというと内需株の方が底堅く推移するとみられ、関連銘柄がどこまで下支えできるかが注目される」と話している。
R7.5.19 東京株式市場・大引け=4日続落、一時300円安 米格下げ影響を警戒
[東京 19日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比255円09銭安の3万7498円63銭と4日続落して取引を終えた。
大手格付け会社による米国債の格下げについて米国市場での今後の反応が警戒され、軟調な値動きが続いた。時間外取引の米株先物の弱い値動きが投資家心理の重しになった。
日経平均は181円安で寄り付いた後も終日、軟調な推移が継続した。
朝方に売り材料となったドル/円の下げは一服したが、米株先物が徐々に水準を切り下げたことが嫌気され、後場には一時307円安に下げ幅を拡げた。
米国債の格付けを今回、引き下げたのはムーディーズ・レーティングスで、同社は先立って信用見通しを「ネガティブ」に引き下げていたことに加え、S&Pグローバル・レーティングが2011年、フィッチ・レーティングスが23年に引き下げていたことに続く動きだったことから、新味に乏しいとの受け止めもあった。
一方、米市場での織り込みを見極めたいとの声は根強かった。
市場では「決算が一巡しマクロ経済に目が向くところで格下げが伝わり、タイミングが悪い」(内藤証券の田部井美彦投資調査部長)との見方も聞かれた。
ファーストリテイリング<9983.T>、東京エレクトロン<8035.T>など指数寄与度の高い銘柄群が軟調だった一方、主力抗がん剤を改良するとの報道があった第一三共<4568.T>は大幅高となり、医薬品は業種別の値上がり率トップだった。
自動車を含む輸送用機器はしっかり。日米交渉の好転への期待感が支えになったほか、米高関税への警戒感から売られていた反動が意識された。
市場では「日本企業にとって、日米交渉の重要性が増している。(12日に追加関税引き下げで合意した)米中交渉を受けて市場は楽観的な反応となったが、短期間で決着するかは予断を許さない」(内藤証券の田部井氏)との声が聞かれた。
TOPIXは0.08%安の2738.39ポイントで取引を終えた。
東証プライム市場指数は前営業日比0.07%安の1409.27ポイントだった。
プライム市場の売買代金は3兆8215億8500万円だった。
東証33業種では、値上がりは医薬品や空運、水産・農林など15業種、値下がりは海運や石油・石炭製品、保険など18業種だった。
中外製薬<4519.T>は堅調、トヨタ自動車<7203.T>は小じっかり。
決算をこなしたフジ・メディア・ホールディングス<4676.T>は大幅高だった。
一方、KDDI<9433.T>やファナック<6954.T>は軟調だった。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.4%高の716.67ポイントと7日続伸した。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが826銘柄(50%)、値下がりは750銘柄(45%)、変わらずは55銘柄(3%)だった。
終値 前日比 寄り付き 安値/高値
日経平均 37498.63 -255.09 37572.36 37,445.93─37,656.23
TOPIX 2738.39 -2.06 2734.69 2,730.60─2,744.70
プライム市場指数 1409.27 -1.02 1406.66 1,405.31─1,412.48
スタンダード市場指数 1305.20 +5.05 1299.57 1,298.74─1,305.89
グロース市場指数 912.30 +3.73 905.85 903.87─913.01
グロース250指数 716.67 +2.83 711.37 709.49─717.27
東証出来高(万株) 167081 東証売買代金(億円) 38215.85

R7.5.20 東京株式市場・大引け=5日ぶり小反発、円高・日米交渉控えで伸び悩む
[東京 20日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比30円86銭高の3万7529円49銭と5日ぶりに小反発して取引を終えた。
米国債格下げを受けた米市場が波乱とはならなかった安心感から買い戻しが先行し、一時423円18銭高の3万7921円81銭まで上昇した。
しかし、日米交渉を控え行方を見極めたいとのムードが広がったほか、為替相場がドル安/円高に振れたことを嫌気し、一時はマイナスに沈むなど後半は伸び悩んだ。
朝方は安心感から買い優勢で始まったものの、きょうから主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議(22日まで、カナダ)が開かれる中で買い材料が見あたらず、徐々に見送りムードが広がった。
取引時間中に、3回目の日米関税交渉を巡り、赤沢亮正経済再生相が23日に米ワシントンに向けて出発する方向で調整に入ったとNHKが報じたことをきっかけに、市場の目線が日米交渉に向かったことも上値を重くさせた。交渉は日本時間の24日に行われる見通しという。
さらに、午後に入ってからドル安/円高が進み、ドルがきょう日中の安値を更新するなど、日中足チャートが下値をブレークしたことも株売りにつながった。
市場では「赤沢大臣の訪米が伝わり、日米交渉への関心が強くなってきた。これまでの他国との交渉と異なり、直接日本経済に響いてくるだけに、模様眺めムードが強くなっている」(SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏)との声が聞かれた。
TOPIXは0.02%高の2738.83ポイントで取引を終えた。
東証プライム市場指数は前営業日比0.02%高の1409.52ポイント。
プライム市場の売買代金は4兆4721億4500万円だった。
東証33業種では、値上がりは非鉄金属、サービス業、銀行業など9業種、値下がりは繊維製品、電気・ガス業、水産・農林業など24業種だった。
個別では、トヨタ自動車<7203.T>、ソニーグループ<6758.T>など主力株に堅調な銘柄が目立ち、東京エレクトロン<8035.T>もしっかりだが、任天堂<7974.T>、指数寄与度の高いファーストリテイリング<9983.T>がさえない。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.87%高の722.92ポイントと上昇した。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが344銘柄(21%)、値下がりは1245銘柄(76%)、変わらずは42銘柄(2%)だった。
終値 前日比 寄り付き 安値/高値
日経平均 37529.49 +30.86 37723.60 37,455.70─37,921.81
TOPIX 2738.83 +0.44 2754.52 2,732.54─2,760.95
プライム指数 1409.52 +0.25 1418.05 1,406.27─1,420.82
スタンダード指数 1300.36 -4.84 1307.25 1,300.35─1,308.80
グロース指数 920.47 +8.17 914.98 914.98─924.08
グロース250指数 722.92 +6.25 718.70 718.48─725.86
東証出来高(万株) 192356 東証売買代金(億円) 44721.45
R7.5.21 東京株式市場・大引け=反落、日米財務相会談を警戒 ドル安/円高嫌気
[東京 21日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比230円51銭安の3万7298円98銭と反落して取引を終えた。
今週の実施が見込まれる日米財務相会談で円安是正を要求されるとの警戒感がくすぶり、ドル/円が水準を切り下げたことが投資家心理の重しになった。
日経平均は朝方に100円超高に上昇した後、徐々に水準を切り下げ、きょうの安値で引けた。
ドル/円が143円台に下落し、株価も歩調を合わせる形となった。
相対的に大型株が弱かった一方、内需株に関心が向かい中小型株は底堅かった。
イスラエルがイラン核施設の攻撃準備との報道があり、原油価格が上昇する中、鉱業や石油・石炭製品、卸売がしっかりだった。
国内金利が上昇基調にあり、銀行株も物色された。
米半導体メーカーのウルフスピード<WOLF.N>が連邦破産法11条の適用を数週間以内に申請する準備を進めているとの報道があったことは、国内の半導体関連株の上値を抑えた。
市場では、トランプ関税を材料に急落する前のレンジ下限となる3万8000円を上回る水準では上値の重さが意識されている一方、「3万7500円を割り込むと底堅い。戻り局面で買い遅れた投資家の押し目買いが支えになっているのだろう」(フィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッド)との見方が聞かれた。
TOPIXは0.22%安の2732.88ポイントで取引を終えた。
東証プライム市場指数は前営業日比0.22%安の1406.48ポイントだった。
プライム市場の売買代金は4兆1957億3700万円だった。
東証33業種では、値上がりは鉱業や石油・石炭製品、パルプ・紙など20業種、値下がりは保険やその他製品、電気機器など13業種だった。
前日に決算を発表した東京海上ホールディングス<8766.T>が大幅安だったほか、アドバンテスト<6857.T>やソニーグループ<6758.T>はさえなかった。
一方、三井物産<8031.T>や三菱重工業<7011.T>がしっかり。みずほフィナンシャルグループ<8411.T>は堅調だった。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.88%安の716.57ポイントと9日ぶりに反落した。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが747銘柄(45%)、値下がりは816銘柄(50%)、変わらずは69銘柄(4%)だった。
終値 前日比 寄り付き 安値/高値
日経平均 37298.98 -230.51 37590.15 37,298.98─37,659.94
TOPIX 2732.88 -5.95 2747.68 2,731.33─2,752.56
プライム市場指数 1406.48 -3.04 1415.19 1,405.71─1,416.58
スタンダード市場指数 1302.67 +2.31 1303.77 1,302.59─1,307.89
グロース市場指数 914.27 -6.20 922.23 913.28─923.20
グロース250指数 716.57 -6.35 724.14 715.65─725.02
東証出来高(万株) 181276 東証売買代金(億円) 41957.37
R7.5.22 東京株式市場・大引け=続落、3万7000円割れ 米金利上昇と円高を嫌気
[東京 22日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比313円11銭安の3万6985円87銭と、続落した。
2週間ぶりに終値で節目の3万7000円を下回った。
前日の米国市場で金利上昇/株安となった流れを引き継いで、売りが優勢となった。
為替市場での円高進行も重しとなった。日経平均は一時400円超値下がりした。
日経平均は前営業日比367円安と軟調にスタートした直後、400円以上下落した。
指数寄与度の大きい半導体株や輸出関連株が軟調で相場の重しとなった。
前場引けにかけては下げ幅を縮小したが、後場に再び売りが強まり、一時443円安の3万6855円83銭で安値を付けた。
円高が進み上値を抑える要因となった。一方、後場終盤にかけては3万7000円近辺で一進一退となった。
朝方には、日米財務相会談で為替水準に関する協議がなかったと伝わったが、株式市場での反応は限定的だった。
市場では「米国の財政懸念が高まっており、米金利高・ドル安となっていることが株安の背景にある。もともと日本株は急落後の上昇の反動で調整が出ていたところに悪材料が加わり、目先は上値の重さが意識されやすい」(山和証券・調査部部長、志田憲太郎氏)との声が聞かれる。
志田氏は「当面は為替の円高なども警戒されることから、内需株に物色が向かいそうだ」と指摘している。
目先の日経平均について国内証券のストラテジストは「4月7日に付けた3万1000円割れから3万8400円台まで上げた分の3分の1ほどの調整はある」とみている。
TOPIXは0.58%安の2717.09ポイントで取引を終了。
プライム市場指数は0.58%安の1398.35ポイントだった。
東証プライム市場の売買代金は4兆0935億4200万円だった。
東証33業種では、非鉄金属、海運、医薬品など6業種が値上がり。空運、石油・石炭製品、輸送用機器など27業種は値下がりした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.37%安の713.89ポイントと小幅に続落した。
個別では、前日に中期経営計画を発表した京成電鉄<9009.T>が10%超安と大幅下落した。
SUBARU<7270.T>、日野自動車<7205.T>、トヨタ自動車<7203.T>など自動車株が軟調。
一方、古河電気工業<5801.T>は11%超高で大幅上昇。IHI<7013.T>、三菱重工業<7011.T>はしっかりだった。
プライム市場の騰落数は、値上がり510銘柄(31%)に対し、値下がりが1067銘柄(65%)、変わらずが55銘柄(3%)だった。
終値 前日比 寄り付き 安値/高値
日経平均 36985.87 -313.11 36931.89 36,855.83─37,100.45
TOPIX 2717.09 -15.79 2713.71 2,707.06─2,725.27
プライム市場指数 1398.35 -8.13 1397.17 1,393.35─1,402.51
スタンダード市場指数 1304.09 +1.42 1297.85 1,297.52─1,307.21
グロース市場指数 911.90 -2.37 907.13 906.35─915.85
グロース250指数 713.89 -2.68 710.43 709.70─716.91
東証出来高(万株) 167379 東証売買代金(億円) 40935.42
R7.5.23 東京株式市場・大引け=反発、米金利の上昇一服で 買い一巡後は小動き
[東京 23日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比174円60銭高の3万7160円47銭と、反発して取引を終えた。米金利の上昇一服や朝方の為替円安を受けて、日経平均は一時400円近く値上がりする場面があった。ただ、後場にかけて為替が円高方向に振れると、日経平均は上げ幅を縮小。週末を控えて手掛けにくさも意識され、終盤は一進一退となった。
日経平均は前営業日比175円高としっかりでスタートした後、前場中盤に一時388円高の3万7373円91銭で高値を付けた。指数寄与度の大きい銘柄の一角や半導体株がしっかりで、相場を支えた。米株先物が底堅く推移していたことも、投資家心理の改善につながった。
一方、朝方143円後半で推移していたドルが、143円前半へ下落するなど円高が進行し、相場の重しとなった。後場の日経平均は上げ幅を縮小し、大引けにかけて日経平均は3万7100円台でもみ合った。セクター別では、その他製品が3%超上昇するなど堅調に推移したほか、非鉄金属もしっかりだった。
赤沢亮正経済再生相は23日から訪米し、米政府との3回目の関税協議に臨む。マーケット参加者の関心は日米の関税交渉に向かっており、市場では「今回はベセント米財務長官が欠席と伝わっているので、詳細が決まる期待は高くない。一方、関税に関してこれ以上ネガティブな話が出る可能性は低いとみており、相場が大きく崩れる理由は少ないのではないか」(東海東京インテリジェンス・ラボのシニアアナリスト・澤田遼太郎氏)との声が聞かれた。
TOPIXは0.68%高の2735.52ポイントで取引を終了。プライム市場指数は0.68%高の1407.82ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は3兆9321億7600万円だった。東証33業種では、その他製品、非鉄金属、機械など26業種が値上がり。鉱業、証券、商品先物取引、電気・ガスなど6業種が値下がり、海運は変わらずだった。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.17%安の712.67ポイントと小幅に3日続落した。
個別では、日本製鋼所<5631.T>が10%高と大幅上昇。防衛関連もしっかりで、三菱重工業<7011.T>が5%超高。IHI<7013.T>は連日の年初来高値となった。指数寄与度の大きい東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>は小幅高、任天堂<7974.T>は5%超高だった。一方、リクルートホールディングス<6098.T>や信越化学工業<4063.T>は軟調だった。
プライム市場の騰落数は、値上がりが1118銘柄(68%)に対し、値下がりが450銘柄(27%)、変わらずが64銘柄(3%)だった。
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