東京ロイター

波乱含み、米エヌビディア決算や為替の動向を注視=今週の東京株式市場
[東京 25日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、波乱含みと想定されている。米エヌビディアの決算発表(26日)を控えており、日経平均への寄与度が高い国内半導体関連株の値動きにも影響が及ぶ可能性がある。米高関税政策や日銀の金融政策への警戒感がある中、先行きのAI(人工知能)関連需要への期待が盛り返すかが焦点。為替動向への目配りが引き続き必要になるほか、高値圏にある米国株の調整リスクもくすぶる。
日経平均の予想レンジは3万7500円─3万9000円。
日経平均は咋秋以降に続く3万8000円─4万円を軸にした値動きを継続すると見込まれている。上値を買う手掛かりを欠く中で、ボックス内の下側での動きが中心になりそうだとの声が聞かれる。
足元ではトランプ関税や日銀政策、為替の円高、米国株の調整など、日本株安のリスク要因が複数くすぶっている。「センチメントが弱気に傾いている中では、きっかけがあれば投機的な下値攻めもあるかもしれない」(内藤証券の田部井美彦投資調査部長)との見方もある。
関心が集まるのが、エヌビディアの決算だ。業績面では引き続き堅調な結果を予想する声が多い一方、事前に織り込む動きもみられているだけに、出尽くしの反応になるリスクも意識されている。
AI(人工知能)関連では、中国の生成AIディープシークの台頭を受けて市場が動揺した経緯がある。決算を通じてAI関連需要の見通しなどで投資家の不安心理が緩和するかが注目される。
ドル/円の動向も波乱要因の一つ。「市場の目線が来期業績に向かう中で、円高基調の継続は投資家心理に良い影響を与えない」(内藤証券の田部井氏)と懸念されている。為替に影響しそうな日米の経済指標では、2月都区部消費者物価指数、1月米個人消費支出(PCE)デフレーター(いずれも28日)の発表がある。
R7.2.24 東京株式市場・大引け=祝日振替休日

R7.2.25 東京株式市場・大引け=大幅反落、一時600円超安 ハイテク株安が重し
[東京 25日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比539円15銭安の3万8237円79銭と、大幅に反落した。米市場でのハイテク株安や為替の円高基調が重しとなり、日経平均は軟調な展開が続いた。特に指数寄与度の大きいハイテク株の一角が売られ、日経平均は一時600円超安となる場面もあった。一方、ディフェンシブ株や商社株は買われた。
日経平均は前営業日比417円安と軟調にスタートした後、下げ幅を拡大し、前場序盤に645円安の3万8131円79銭まで下落した。為替の円高基調が重しとなったほか、前日の米市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が2%超下落したことなどが重しとなり、半導体関連株が軟調だった。前日の米国株市場でマイクロソフト<MSFT.O>が人工知能(AI)用データセンターのリースを解約したと記したアナリストのリポートが話題となり[nL3N3PF133]、AI関連のデータセンター投資が過剰になるのではないかとの懸念が重しとなった。
一方、日経平均は売りが一巡すると下げ渋り、後場は3万8200円台を軸に一進一退となった。米国の関税政策への警戒で輸出関連株が売られた半面、商社株や医薬品株などが堅調だった。市場では「日経平均の下値めどとしては1月17日に付けた安値(3万8055円)が意識されそうだ」(国内証券・ストラテジスト)との声が聞かれた。松井証券のシニアマーケットアナリスト・窪田朋一郎氏は「きょうはハイテク株の下落が重しとなっているが、ディフェンシブ銘柄は買われるなど全面安とはならず底堅い地合い」と指摘した。目先は「3万8000円―4万円のボックス相場は変わらないと思う
が、為替や金利動向、米国の関税政策など外部環境によっては3万8000円を割れる可能性もあるだろう」と話した。
TOPIXは0.43%安の2724.70ポイントで取引を終了。プライム市場指数は0.43%安の1402.46ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は4兆8611億3700万円だった。東証33業種では、卸売、医薬品、海運など12業種が値上がり。非鉄金属、石油・石炭製品、電気機器など21業種は値下がりした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.98%安の673.56ポイントと、4日続落した。
個別では、商社株が大幅上昇した。米投資会社バークシャー・ハサウェイを率いる米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が「株主への手紙」で、日本の5大商社への投資を拡大する可能性に言及し、好感された。三菱商事<8058.T>が8%超高、伊藤忠商事<8001.T>が6%超高、丸紅<8002.T>が7%超高だった。
一方、ソフトバンクグループ<9984.T>が4%超安、アドバンテスト<6857.T>が6%超安、東京エレクトロン<8035.T>が4%超安だった。
日産自動車<7201.T>は8%安。足元、米テスラ<TSLA.O>や台湾の電子機器製造大手、鴻海(ホンハイ)精密工業<2317.TW>による出資への思惑が株価の押し上げに寄与していたが、これらが後退し、売りが先行したとの見方があった。
プライム市場の騰落数は、値上がり725銘柄(44%)に対し、値下がりが845銘柄(51%)、変わらずが70銘柄(4%)だった。
R7.2.26 東京株式市場・大引け=続落、米景気不透明感を嫌気 エヌビディア決算先取りも
[東京 26日 ロイター] -東京株式市場で日経平均は、前営業日比95円42銭安の3万8142円37銭と続落して取引を終えた。米国市場で消費者信頼感指数が低下したことで景気を巡る不透明感が高まり株安となったことが嫌気された。一方、ドル/円の円高一服や、米半導体大手エヌビディアの決算を日本時間のあすに控えて先取りするような動きもみられ、午後には下げ渋った。
日経平均は94円安で寄り付いた後も徐々に下げ幅を拡大し、一時495円安の3万7742円76銭に下落した。心理的節目3万8000円を割り込んだのは昨年12月2日以来約2カ月半ぶり。米国市場で半導体株が下落する中、国内の関連株が弱かった。とりわけ、トランプ米政権による対中半導体規制が懸念された東京エレクトロン<8035.T>の下げがきつかった。
朝方にはドル/円の円高基調が輸出株の上値を抑えたほか、金利が低下する中、銀行や保険も弱かった。原油安は鉱業や石油・石炭製品で嫌気された。食料品や医薬品といったディフェンシブ株は物色されており、リスク回避的な地合いが意識された。
市場では「米インフレ次第の面はあるが、景気減速なら利下げ継続への思惑が高まる。米国の構造的な人手不足は短期間では解消されず、過度に悲観する必要はないだろう」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャー)との見方があった。
午後には、日経平均は下げ渋った。ドル/円が149円半ばに持ち直す動きとなって円高が一服し、セクター別の輸送用機器などはプラスに転じた。米エヌビディアの決算発表を日本時間のあす早朝に控える中、良好な内容を先取りするような動きもみられ、関連株と目されるアドバンテスト<6857.T>は朝安後にプラスに転換した。
エヌビディア株は2月に入って上昇基調にあったことから決算では出尽くしが警戒されたが、この数日は調整基調がみられており「上値余地が生じた。良好な内容なら、素直な市場反応が期待できるのではないか」(国内証券のアナリスト)との見方が聞かれた。
TOPIXは0.3%安の2716.4ポイントで取引を終えた。東証プライム市場指数は0.31%安の1398.18ポイントだった。プライム市場の売買代金は4兆5360億0900万円だった。
東証33業種では、値上がりは不動産や食料品、海運など17業種、値下がりは石油・石炭製品や銀行、卸売など15業種、変わらずは1業種だった。
業績・配当予想の上方修正や株主優待を発表したJPホールディングス<2749.T>は一時ストップ高をつけた。フジクラ<5803.T>やファーストリテイリング<9983.T>は堅調だった。
一方、近く株式の売り出しを決める方向で最終調整していると一部で報じられたゆうちょ銀行<7182.T>は軟調、ディスコ<6146.T>やソフトバンクグループ<9984.T>はさえなかった。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.72%安の668.74ポイントと5日続落した。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが619銘柄(37%)、値下がりは948銘柄(57%)、変わらずは73銘柄(4%)だった。
R7.2.27 東京株式市場・大引け=日経平均は3日ぶり反発、エヌビディア好決算で半導体株を物色
[東京 27日 ロイター] -東京株式市場で日経平均は3日ぶりに反発し、前営業日比113円80銭高の3万8256円17銭で取引を終えた。米半導体大手エヌビディア<NVDA.O>の好決算から半導体関連株が物色されたことがムードを好転させたほか、時間外取引で米株先物が底堅いことも下支え要因になった。ただ、新たな材料に乏しく、全体的に見送りムードが強い。
注目を集めていたエヌビディアの決算は売上高見通しが市場予想を上振れたことで、投資家に安心感を与えた。市場では「株式市場ではデータセンター関連株に暗雲が漂っていたものの、エヌビディアの好調な決算がこうした懸念を吹き払った」(大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏)との声が聞かれた。
しかし、時間外取引での同社の株価がさえず、今晩の米市場での反応を見極めたいとの思惑から、東京市場の半導体関連株の動きはまちまちとなった。
引けにかけて全体は締まった相場付きとなったが、時間外取引で米株先物が堅調になったことが好感されたという。
市場では「上値は引き続き重さを感じさせるものの、3万8000円前後は昨秋以降のレンジ相場における下限に当たるため、押し目買いが入りやすい」(野村証券・投資情報部ストラテジストの澤田麻希氏)との指摘もある。
TOPIXは0.73%高の2736.25ポイントで取引を終えた。東証プライム市場指数は前営業日比0.73%高の1408.39ポイントだった。プライム市場の売買代金は4兆3399億6100万円だった。
東証33業種では、値上がりは非鉄金属、保険業、輸送機器など27業種、値下がりは小売業、空運業など6業種だった。
個別では、トヨタ自動車<7203.T>、ソニーグループ<6758.T>など主力株が堅調に推移しているほか、東京エレクトロン<8035.T>、ディスコ<6146.T>など半導体関連株がしっかり。フジクラ<5803.T>などデータセンター関連株が高い。
半面、セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>が大幅安。アドバンテスト<6857.T>が安く、ファーストリテイリング<9983.T>もさえない。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が0.03%安の668.56ポイントと、下落した。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1222銘柄(74%)、値下がりは380銘柄(23%)、変わらずは34銘柄(2%)だった。
R7.2.28 東京株式市場・大引け=幅反落、一時3万7000円割れ 今年最大の下げ幅
[東京 28日 ロイター] –
東京株式市場で日経平均は、前営業日比1100円67銭安の3万7155円50銭と、大幅反落した。前日の米市場で半導体大手エヌビディア<NVDA.O>の株価が急落したことを受けて、東京市場でも関連銘柄の売り圧力が強まったほか、米国の関税政策を巡る不透明感も相場の重しとなった。日経平均は一時1400円超下落。節目の3万7000円を割り込み、約5カ月ぶりの低水準となった。下げ幅は今年最大だった。
日経平均は前営業日比402円安と軟調にスタートした後、次第に下げ幅を拡大し、後場序盤に節目の3万7000円を割り込んだ。指数寄与度の大きい半導体関連株、とりわけエヌビディアと連動性の高い銘柄群や、データセンター関連銘柄の下げがきつく、相場の重しとなった。
トランプ米大統領は27日、メキシコとカナダに対する25%の関税措置を予定通り3月4日に発動させると表明。4日に発動した中国に対する10%の追加関税にさらに10%を上乗せする措置も3月4日に実施するとも表明し、輸出関連株も売られた。
一方、後場後半にかけては一進一退となり、3万7100円台を軸に小動きとなった。週末前で手掛けにくさも意識された。
市場では「日経平均は5カ月ほど3万8000円―4万円のボックス相場が続いていたが、下値めどの3万8000円を明確に割り込んだことで、目先はやや下方向をみた方がよさそうだ」(丸三証券の投資情報部長・丸田知宏氏)との声が聞かれた。
丸田氏は、「半導体関連が相場のけん引役として指数を押し上げるフェーズから、人工知能(AI)周辺の銘柄に物色がシフトしつつある。今後はソフトウェア関連が買われやすいとみているほか、米関税の影響を受けにくい内需株へ資金が向かいやすいのではないか」と話した。
TOPIXは1.98%安の2682.09ポイントで取引を終了。プライム市場指数は1.98%安の1380.49ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は6兆2109億2600万円だった。
東証33業種では、鉱業、電気・ガス、倉庫・運輸関連など4業種が値上がり。非鉄金属、機械、電気機器など29業種は値下がりした。
新興株式市場は、東証グロース市場250指数が2.21%安の653.77ポイントと、7日続落した。
きょうグロース市場に新規上場したTENTIAL<325A.T>は公開価格を30%上回る2600円で初値を付け、2879円まで上昇。2751円で取引を終えた。
個別では、アドバンテスト<6857.T>が8%超安、ディスコ<6146.T>が10%超安、東京エレクトロン<8035.T>が4%超安、ソフトバンクグループ<9984.T>が6%安と、大幅安となった。データセンター関連も売られ、フジクラ<5803.T>は7%超安だった。
株主還元の継続への期待感で愛知製鋼<5482.T>は5%高。業績と配当予想の引き上げを発表した北陸電力<9505.T>は5%超高だった。
プライム市場の騰落数は、値上がり312銘柄(19%)に対し、値下がりが1283銘柄(78%)、変わらずが44銘柄(2%)だった。
もみ合い、経済指標やトランプ関税次第で乱高下も=来週の東京株式市場
[東京 28日 ロイター] -来週の東京株式市場は、もち合いが想定されている。米景気に対する不安やトランプ関税に対する不透明感から安定しない地合いが続くとみられ、経済指標やトランプ米大統領の発言など状況次第では、乱高下することもありそうだ。ただ、テクニカル面では売られ過ぎの印象もあることから、きっかけひとつで自律反発する可能性もある。
日経平均の予想レンジは3万6500円─3万8000円
減速を示唆する経済指標が相次いだことで、急速に米国景気の先行きに対する不安が高まったほか、トランプ氏が27日、メキシコとカナダに対する25%の関税措置を予定通り3月4日に発動させる一方、中国に対する10%の追加関税にさらに10%を上乗せする措置も同日に実施すると示したことで、環境不透明感が一段と高まり、急速に投資家のマインドは冷え込んだ。
半導体大手エヌビディア<NVDA.O>が好決算を発表したにも関わらず、株価は大幅に下落したことが市場関係者に衝撃を与え「これまでのように好調な半導体から反騰に向かうシナリオが描けない」(国内証券ストラテジスト)という。米景気やトランプ関税の不透明感が晴れなければ本格的な戻り相場は難しく、当面は底練りが想定される中で「トランプ発言によって相場は上下に大きく振れる可能性もある」(別の国内証券ストラテジスト)との指摘もある。
もっとも、日経平均は各種のテクニカル指標をみると、下げ過ぎとの印象が強い。PER(株価収益率)が急速に低下してきたことで、バリュエーションから買い余地が出てきた。そのため「ここから発表されるISM製造業景況指数、米雇用統計などの指標が強めに出て米景気への不安が後退すればリバウンドが読めるようになる」(東海東京インテリジェンスラボ・マーケットアナリストの池本卓麻氏)との見方もあった。
タイムテーブルでは、3日に2月米ISM製造業景況指数、5日にはISM非製造業景況指数の発表が予定されている。また、7日には2月米雇用統計の発表を控えていることから、週後半にかけて徐々に模様眺めとなる可能性もある。
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