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今週の株 R5.3.6-10 パウエルの議会証言、雇用統計、日銀の政策決定会合も控え、今週はなかなか動きにくい。難しい日経。

東京ロイター

堅調、中国の景気回復期待が支え=今週の東京株式市場

[東京 6日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、堅調な展開が想定されている。7ー8日にはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言が予定されているほか、10日には日銀の金融政策決定会合の結果が公表される。結果を見極めたい投資家は多く、動きづらさも意識されるが、基本的には為替の円安基調や中国経済の回復期待から、このところ膠着感が強かった相場の地合いは改善する見通し。中国では5日、全国人民代表大会(全人代)が開幕した。景気刺激策への期待などから日本株へは支援材料となりそうだ。
物色動向としては、中国景気回復期待を背景にインバウンド(訪日客)関連株や同国とのつながりが深い企業が対象となりそうだ。

日経平均の予想レンジは2万7600―2万8400円。

<三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則弘氏>

「一番の注目は7ー8日に開催されるパウエルFRB議長の議会証言だ。2月の記者会見以降、1月の米雇用統計や米消費者物価指数(CPI)が発表され、いずれも強い結果となり、市場の米金融引き締め長期化への警戒感が高まっている。そうした中、パウエル氏の発言次第では米国市場は乱高下する可能性もあるとみている。ただ、日本市場への影響は限定的だろう。ドル/円相場での円安進行やメジャーSQ(特別清算指数)を控えていること、また中国景気の回復が日本企業にもプラスになるとみれば、上値として2万8400円を試す展開もありそうだ」
 
<野村証券 投資情報部ストラテジスト 沢田麻希氏>

「週末に2月の米雇用統計が発表されるので、動きづらい週になるとみられる。加えて、9―10日には日銀の金融政策決定会合が開催されるので、結果を見極めたいという動きも強まりそうだ。一方、中国景気復調への期待は下支えになるとみている。景気悪化を示唆するような米経済統計結果が出ない限り、日経平均は動きづらい展開が続くのではないか。ただ、投資家心理は改善してきており、2万7000円台後半で値固めしていくのではないか」

 

R5.3.6 東京株式市場・大引け=続伸、3カ月ぶり高値 米中経済の堅調さが支え

[東京 6日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比310円31銭高の2万8237円78銭と、続伸して取引を終えた。米金融引き締め再加速の警戒感が和らいで米長期金利が低下し、前週末の米国株が上昇した流れを引き継ぎ、日本株は堅調に推移した。米中経済の堅調さも投資家心理の改善につながり、半導体株や指数寄与度の大きい銘柄群が上昇。日経平均は約3カ月ぶりの高水準を付けたほか、TOPIXは昨年1月以来の高値となった。

日経平均は254円高と堅調にスタート。ファーストリテイリング<9983.T>や東京エレクトロン<8035.T>など指数寄与度の高い銘柄が総じて堅調で、日経平均は次第に上げ幅を拡大。一時、前営業日比361円高の2万8288円62銭まで上昇した。中国景気の回復期待を背景に設備投資関連株が堅調に推移したほか、景気敏感セクターの一角が買われた。ただ、日経平均は2万8000円を回復したことで達成感も意識され、上昇一服後はもみ合う展開が継続。後場の値幅は49円程度にとどまった。

市場では「米長期金利の低下や中国景気の回復など、外部環境の改善が買いのきっかけとなった」(外国証券・アナリスト)との声が聞かれた。T&Dアセットマネジメントのチーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー、浪岡宏氏は「金融引き締めを経ても米経済がしっかりしている点や、中国景気の回復が経済指標などから確認され、米中経済に対する楽観的な見方が広がっている」と指摘。
日経平均は節目の2万8000円を上回ったことで買い安心感も生じているとし、「地合いの改善から目先はさらなる上昇余地もあるのではないか」(浪岡氏)という。

TOPIXは0.84%高の2036.49ポイントで取引を終了。東証プライム市場指数は0.84%高の1047.89ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は2兆7449億1400万円だった。東証33業種では、精密機器、海運業、電気機器など26業種が値上がり。鉱業、パルプ・紙、保険業など7業種は値下がりした。

個別では、米長期金利の低下を受けてファナック<6954.T>が1.2%高、ソニーグループ<6758.T>が2.5%高となるなど、グロース(成長)株の一角が堅調に推移。ソフトバンクグループ<9984.T>は急反発し、2.7%高となった。傘下の英半導体設計会社アームは、年内に計画する米国市場への上場で、少なくとも80億ドルの調達を目指す見通しだと報じられ、含み益拡大への思惑が先行した。プライム市場の騰落数は、値上がり1191銘柄(64%)に対し、値下がりが579銘柄(31%)、変わらずが65銘柄(3%)だった。14036

 

R5.3.7 東京株式市場・大引け=3日続伸、バリュー物色が支え TOPIX1年3カ月ぶり高値

[東京 7日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比71円38銭高の2万8309円16銭と、3日続伸して取引を終えた。米半導体株安を受けて安く始
まったが、バリュー株を物色する動きが継続して相場を支え、指数はプラスに切り返した。TOPIXは約1年3カ月ぶりの高値を付けた。日経平均の寄付きは小安いスタートだった。前日の米半導体株安が国内半導体関連株の重しになった。一方、鉄鋼や銀行といったバリュー株の物色が継続して相場を底上げし、指数は短時間でプラスに浮上。一時160円高の2万8398円27銭に上昇した。ただ、上げ幅は限られた。日経平均は前日までの2連騰で700円超上昇して3カ月ぶり高値圏にあったことから、高値警戒感から利益確定や戻り待ちの売りが重しになった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言や週末の雇用統計への警戒感も、上値を抑える要因になった。
米国でのイベントを巡って市場では、先行きの米利上げの織り込みは進んでいるとして「発言や数字によほどのサプライズがなく金利の上昇が一服するなら、株式市場には安心感が出るのではないか」(楽天証券経済研究所の香川睦チーフグローバルストラテジスト)との見方も聞かれた。TOPIXは0.42%高の2044.98ポイント、東証プライム市場指数は前営業日比0.42%高の1052.27ポイントで取引を終了した。プライム市場の売買代金は2兆7872億4900万円だった。東証33業種では、値上がりは原油高でしっかりだった鉱業や、鉄鋼、銀行業など28業種で、値下がりは海運業やパルプ・紙、不動産業など5業種だった。
個別では神戸製鋼所<5406.T>が昨年来高値を更新。しずおかFG<5831.T>も買われた。野球の国・地域別対抗戦ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)関連でミズノ
<8022.T>も物色が継続し昨年来高値を更新した。一方、東京エレクトロン<8035.T>は軟調。新型ロケットの打ち上げ失敗が伝わった三菱重工業<7011.T>はさえなかった。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1248銘柄(68%)、値下がりは493銘柄(26%)、変わらずは94銘柄(5%)だった。13816

 

R5.3.8 東京株式市場・大引け=4日続伸、円安が支え 終値で半年ぶり高値

[東京 8日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比135円03銭高の2万8444円19銭と、4日続伸して取引を終えた。前日の米国市場では主要株
価指数が下落したが日本株は円安が相場全体の支えになったほか内需株が底堅く、終値ベースで昨年9月以来、約半年ぶりの高値となった。

日経平均は安く寄り付いたものの、短時間でプラスに転じた。アジア株は総じて軟調だったが「日本株は円安を支えに上昇した」と、松井証券の窪田朋一郎シニアマーケット
アナリストは指摘する。10日の特別清算指数(SQ)算出を控え「買い方の思惑も入ったようだ」(窪田氏)という。

前日の米国市場では、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受けて金融引き締めの再加速が警戒され主要3指数が下落した。一方、ドル/円で137円台へ
と前日から1円以上、円安が進んだ。輸送用機器や電気機器、機械などの輸出関連株が目立って強かったわけではないが、円安は「米株安の中で、関連銘柄の下支え要因になった」(国内証券のストラテジスト)とみられる。加えて、小売業や陸運業などの内需株もしっかりだった。「中国景気回復への期待は根強く、インバウンド需要増への思惑が株価を押し上げた」(別の国内証券のアナリスト)という。

ドルはアジア時間も137円台後半に上値を伸ばし、歩調を合わせるように日経平均は一時160円25銭高の2万8469円41銭に上昇した。指数寄与度の大きいファー
ストリテイリング<9983.T>は、1銘柄で日経平均を50円程度押し上げた。

TOPIXは0.3%高の2051.21ポイントで、1年3カ月ぶり高値を更新した。東証プライム市場指数は前営業日比0.31%高の1055.5ポイントで取引を終
了。プライム市場の売買代金は2兆7202億8500万円だった。東証33業種では、値上がりは陸運業や小売業、不動産業など24業種で、値下がりは鉱業や非鉄金属、石油
・石炭製品など9業種だった。
個別では、エイチ・ツー・オー リテイリング<8242.T>が昨年来高値を更新。JR東海<9022.T>やTDK<6762.T>は堅調だった。一方、リクルートHLDG<6098.T>は軟調。東京エレクトロン<8035.T>や伊藤忠商事<8001.T>はさえなかった。東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1237銘柄(67%)、値下がりは521銘柄(28%)、変わらずは77銘柄(4%)だった。13856

 

R5.3.9 東京株式市場・大引け=5日続伸、半年ぶり高値 半導体やインバウンド関連堅調

[東京 9日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比178円96銭高の2万8623円15銭と、5日続伸した。半導体関連株が堅調に推移したほか、中国人旅行者の回復期待からインバウンド(訪日客)関連もしっかりだった。日経平均は終値ベースで2022年8月以来、半年ぶり高値となった。TOPIXは21年9月以来、1年5カ月ぶり高値を付けた。

日経平均は203円高でスタート。寄り付き後も上げ幅を広げ、一時290円高の2万8734円79銭まで上昇した。中国景気の回復で日本経済は支えられるとの思惑で、幅広い業種で買いが優勢となった。
物色動向としては、百貨店株などインバウンド株がしっかりで、「中国人の訪日客増加への期待や円安基調が支援材料」(国内証券・ストラテジスト)との指摘があった。ただ、買いが一巡すると日経平均は次第に伸び悩み、後場は小動きの展開が続いた。短期間で大幅上昇したため、過熱感が意識されたとの見方もあった。

下押し圧力がかかる米株を横目に、日本株はしっかりした地合いが続いている。日銀の金融政策決定会合の結果発表を明日に控える中、「政策の現状維持を見込む市場参加者が多く、日本株の支えになっている」(GCIアセットマネジメントのポートフォリオマ
ネージャー・池田隆政氏)という。
金融緩和の継続で為替は円安基調が続くとみられ、輸出関連株が買われやすいほか、引き続きPBR(株価純資産倍率)1倍割れの銘柄を物色する動きもみられているという。池田氏は「地合いの改善から目先の日経平均も上値を試しやすい」と話した。

TOPIXは0.97%高の2071.09ポイントで取引を終了。東証プライム市場指数は0.97%高の1065.73ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は2兆8807億9800万円だった。東証33業種では、鉄鋼、海運業、パルプ・紙など31業種が値上がり。鉱業、ゴム製品は値下がりした。

個別では、東京エレクトロン<8035.T>が1.2%高、アドバンテスト<6857.T>が1.7%高と堅調に推移した。前日の米市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が上昇したことが好感された。前日に好決算を発表したビューティガレージ<3180.T>は13%高となり、21年11月24日以来の高水準まで上昇した。

プライム市場の騰落数は、値上がり1432銘柄(78%)に対し、値下がりが329銘柄(17%)、変わらずが74銘柄(4%)だった。14191

 

R5.3.10 東京株式市場・大引け=6日ぶり大幅反落、米雇用統計への警戒や過熱感で

[東京 10日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比479円18銭安の2万8143円97銭と、6日ぶりに反落した。米雇用統計への警戒感から米株安となった流れを引き継いだ。前日までに5連騰し1000円超上昇していたため、短期的な過熱感から利益確定の売りもみられた。海運株や金融株を中心に幅広い銘柄で売りが先行した。

日経平均は237円安でスタート。寄り付き後も下げ幅を広げ、前引けにかけては350円程安い2万8200円台後半で推移した。前引け直後に、日銀が大規模な金融緩和策を維持すると発表すると、日経平均先物は下げ幅を縮小した。ただ、後場に入ると海運や金融株、主力銘柄を中心に売り圧力が強まり、大引けにかけては一時500円を超える下げとなった。

前日の米国市場で銀行株が大幅安となったことで、東京市場でも朝方から金融株の下落が目立った。加えて、「日銀が追加の政策修正を行わなかったことで、後場は一段安となった」(国内証券のストラテジスト)という。

岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは、前日の米市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)やナスダック総合<.IXIC>が大きく下落した割には、関連銘柄への影響は限定的だったとし、「日本株の底堅さを示す動きとなった」と指摘する。米金融引き締めで景気減速が懸念される米国に対し、「コロナ禍からの経済正常化が遅れた日本は経済回復が意識されている」(国内証券・アナリスト)との見方もあった。
TOPIXは1.91%安の2031.58ポイント。東証プライム市場指数は1.91%安の1045.36ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は4兆1566億4900万円と、商いが膨らんだ。東証33業種では、銀行業や海運業、保険業など31業種が値下がり。値上がりはゴム製品とパルプ・紙の2業種だった。

個別では、中期経営計画を発表した日本郵船<9101.T>が6.5%安となった。みずほフィナンシャルグループ<8411.T>は前場に昨年来高値を更新したが、後場に急落。4.5%安で取引を終えた。三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>は5%安、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>は5.6%安と、大手行が軒並み大幅安となった。指数寄与度の高いファーストリテイリングやソフトバンクグループ<9984.T>も軟調だった。

プライム市場の騰落数は、値上がり125銘柄(6%)に対し、値下がりが1673銘柄(91%)、変わらずが37銘柄(2%)だった。12920

 

底堅い、米株波乱含みでも割安感が支え マスク任意化は内需支援=来週の東京株式市場

[東京 10日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、底堅い展開が見込まれている。注目される3月連邦公開市場委員会(FOMC、21―22日)を前に消費者物価指数(CPI)や小売売上高など重要指標の発表が相次ぎ米株市場は波乱含みの一方、日本株は相対的な割安感が引き続き意識されそうだ。中国経済復調への期待が根強いほか、国内ではマスク着用が個人判断に移行することで経済正常化への思惑が内需株を支援すると見込まれる。

日経平均の予想レンジは2万7900円─2万8900円。

<ピクテ・ジャパン ストラテジスト 糸島孝俊氏>

「米国では重要経済指標の発表がある中で(FOMCメンバーが公的発言を控える)ブラックアウト期間に入る。政策への思惑が交錯し、相場は不安定になり得る。ただ、米経済指標が強い結果で米株安となっても円安が日本株にはプラスであり、一方で弱ければ米株高と円高になるため、大きな売りや買いの圧力になりにくい。
全国旅行支援が延長の方向となっていることは、内需株には追い風だ。マスク着用が個人判断に移行することで、経済の正常化で先行した海外の投資家にとっては日本の正常化への思惑がより強く意識され得る。中国景気回復への思惑も下支えになるだろう。相対的な割安感が根強い日本株は、上値余地があるのではないか」

<三木証券 商品部投資情報グループ次長 北沢淳氏>

「日本株は底堅いとみている。ただ、米国株は波乱含みで、その影響を受けるリスクはくすぶる。国内では東証による低PBR(株価純資産倍率)企業への改善要請への思惑や、配当権利取りの動きが引き続き相場の底上げにつながる。
マスク着用が個人判断に移行するほか、訪日外客数の発表が予定されており、経済再開やインバウンド期待も支援材料になるだろう。中国の経済指標で回復基調が確認されれば、日本株の追い風になる。
一方、米国ではCPIや小売売上高など重要指標の発表が相次ぐ。FOMCに向けて米株の動向は読みにくく、ボラティリティーは高まり得る」

 

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