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今週の株 R5.3.20-24 金融不安、むかえるFOMC…市場予想は0.25利上げ。難しい舵取りが迫られるなか今週の日経はどちらに動く?

 東京ロイター

神経質、金融不安くすぶり下値リスクに警戒=今週の東京株式市場

[東京 20日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、神経質な展開が想定されている。欧米の金融不安については、金融システム全体へ影響が波及するとの見方は少ない。UBSによるクレディ・スイス買収が決まったが、他の銀行でも経営不安が高まるのではないかとの警戒感はくすぶり、市場は疑心暗鬼になっているため、下値リスクに注意が必要だ。
 一方、21―22日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、イベントを無難に通過すれば買い戻しの動きがみられそうだ。日経平均は16日までの5営業日で2000円以上下落したことから割安感も生じ、押し目買いが下値を支えるとみられている。物色動向としては、出遅れ感が意識されている半導体株が堅調に推移する見通し。

日経平均の予想レンジは2万6600―2万7600円。

<SMBC信託銀行 投資調査部長 山口真弘氏>

 「今週の日本株は不安定な動きとなりそうだ。欧米の金融不安については、依然として解消に時間がかかると予想され、日経平均は下値リスクの方が大きいとみている。今週の注目イベントはFOMCだが、市場の予想通り0.25%の利上げが決定された場合は無難通過となるのではないか。ただ、ドットチャート(FOMCメンバーによる金利予想)でタカ派的な姿勢が確認されれば、株価には下押し圧力がかかりそうだ。テクニカル面では2万7300円台に位置する200日移動平均線が上値抵抗線として意識されており、2万7000円台後半では上値の重さが意識されやすいとみている」

<T&Dアセットマネジメント チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネージャー 
浪岡宏氏>

 「欧米の金融不安については、金融システム全体へ影響が波及するリスクは低いだろう。米銀の経営破綻を発端とした金融不安はいったん和らぎ、底堅い展開を見込んでいる。ECB理事会を無難に通過したことで安心感があり、FOMCも波乱なく消化できると予想している。日経平均は10日以降、大幅安となったため割安感も意識されそうだ。足元では低PBR(株価純資産倍率)株の物色が活発だった一方、高PER(株価収益率)株は出遅れており、引き続き半導体関連株などは買われやすいとみている」

 

R5.3.20 東京株式市場・大引け=反落、UBSのクレディ・スイス買収でも懸念根強く

[東京 20日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比388円12銭安の2万6945円67銭と、反落して取引を終えた。取引開始前にUBSによるクレディ・スイス買収や、日米欧の中銀によるドル資金供給の拡充が伝わり、欧米の金融システムに対する過度な不安は和らいだ。ただ、投資家の警戒感は根強かった。円高も重しとなって幅広い銘柄が売られ、下げ幅を徐々に拡大する展開となった。

 日経平均は前営業日比80円安でスタート。一時下げ幅を縮小してプラスに転じる場面もあったが、その後は次第に水準を切り下げた。東証プライム市場の値下がり銘柄は9割を超え、東証33業種のすべてが下落。ほぼ全面安の商状となり、安値で引けた。銀行株は朝方に小高かったが、その後はマイナスに沈んだ。ドル/円が円高に振れ、自動車などの輸出関連株を中心に重しとなった。市場では過度な警戒感は後退したが「不安が払拭されたわけではない。米景気への懸念もくすぶる」(国内証券のストラテジスト)との声が聞かれた。
 東京市場はあすが休場となる。22日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表や米連邦準備理事会(FRB)議長会見を控えており、午後にかけて模様眺めが強まった。朝方に小高く推移していた米株先物がマイナスに転じる中、日経平均は下げ幅を拡大。今週からの新規株式公開(IPO)ラッシュを前に、投資家による換金売りが重しになったとの見方もあった。
FOMCでは0.25%の利上げやターミナルレート(利上げの最終到達点)引き上げなどの織り込みが進んでいるが「内容もさることながら市場の反応が重要となる。事前の決め打ちは難しい」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長)との声が聞かれた。

 当局による矢継ぎ早の対応で金融システム不安は和らいできていることから、FOMCを通過した後は「米銀の追加的な経営破綻など新たなリスク要因が浮上しなければ、相場は次第に落ち着きを取り戻していくだろう」(大谷氏)とみられている。TOPIXは1.54%安の1929.3ポイント、東証プライム市場指数は前営業日比1.54%安の992.66ポイントで取引を終了した。プライム市場の売買代金は2兆9764億4200万円だった。東証33業種は、すべてが下落し。値下がり率上位には海運業や倉庫・運輸関連業、不動産業が並んだ。
 みずほFG<8411.T>や東京エレクトロン<8035.T>が軟調。川崎汽船<9107.T>は売られた。一方、好業績が引き続き好感されたサンリオ<8136.T>が昨年来高値を更新。日本電産<6594.T>や荏原製作所<6361.T>は堅調だった。東証プライム市場の騰落数は、値上がりが93銘柄(5%)、値下がりは1723銘柄(93%)、変わらずは20銘柄(1%)だった。11706

 

R5.3.21 春分の日

休場

 

R5.3.22 東京株式市場・大引け=反発、一時2万7500円台回復 欧米の金融システム不安後退で

[東京 22日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比520円94銭高の2万7466円61銭と、反発して取引を終えた。一連の金融システム不安が後退し、投資家心理が改善したことで、金融株を中心に幅広い銘柄が買われた。為替の円安基調も支えとなり、日経平均は後場に入り、心理的節目の2万7500円を回復した。

 日経平均は352円高でスタート。幅広い銘柄で買いが先行し、その後も上げ幅を拡大した。後場に入ると、心理的節目の2万7500円台を回復し、一時前営業日比約575円高の2万7520円97銭をつけた。前日の米国市場では、イエレン財務長官が米銀が破綻した際に預金を全額保護する可能性に言及したことで、金融システム不安が後退し、金融株を中心に幅広い銘柄が買われた。東京市場でも銀行や保険、証券などの金融セクターに買いが入ったほか、前日の米ハイテク株高を受けて、半導体関連銘柄が堅調に推移した。為替が、前営業日の取引時間中に比べやや円安に振れていることから輸出関連銘柄もしっかりだった。野村証券の神谷和男投資情報部ストラテジストは、「イエレン財務長官の発言が市場にとっては大きな安心材料となった」と指摘。ただ、先週下げ過ぎた分は戻したものの、ここからさらに上値を追うには、米国景気やインフレの動向を注意深くみる必要がある、との見解を示した。

 きょうは、市場が注目する米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表やパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長会見が予定されている。マーケットが0.25%の利上げを織り込む中で「市場の注目はドットチャート(FOMCメンバーの政策金利見通し)に集まっている。更なる金融引き締めを示唆するのか、または緩和姿勢を打ち出すのかを注視する必要がある」(神谷氏)という。
TOPIXは1.74%高の1962.93ポイント、東証プライム市場指数は前営業日比1.75%高の1009.99ポイントで取引を終了した。プライム市場の売買代金は2兆9372億300万円だった。東証33業種は、空運業以外の32業種が値上がりした。
 みずほFG<8411.T>や第一生命ホールディングス<8750.T>など、銀行や保険などの金融株が朝方から堅調に推移した。米ハイテク株高を受けて、東京エレクトロン<8035.T>やアドバンテスト <6857.T>もそれぞれ2%超高となった。楽天グループ<4755.T>は傘下の楽天銀行が、4月中にも東京証券取引所に上場することが分かったとロイターが報じたことが手掛かりとなり、後場に一段高となった。一方、連結営業利益予想を下方修正した新光電気工業<6967.T>は6%安だった。東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1704銘柄(92%)、値下がりは110銘柄(5%)、変わらずは22銘柄(1%)だった。11849

 

R5.3.23 東京株式市場・大引け=小反落、金融システム不安根強く 半導体株高は支え

[東京 23日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比47円00銭安の2万7419円61銭と、小幅に反落して取引を終えた。欧米の金融システム不安が再燃して米株安となったことを嫌気し、売りが優勢となった。円高も重しになった。一方、指数寄与度の高い半導体関連株が堅調に推移し、下支えになった。

 日経平均は売りが先行し200円超安でスタート。前日にイエレン米財務長官が、連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険対象を全ての預金に拡大することは検討されていないと述べ、米株と同様に銀行や保険などの金融セクターを中心に売りが先行した。
 ドル/円は130円台へと円高に振れ、輸出関連株を中心に重しになった。米連邦公開市場委員会(FOMC)は大方の予想通り0.25%の利上げを決めた一方、声明文から「継続的な」利上げが適切との文言が削除されて早期の利上げ停止の思惑につながり、金利差縮小が意識された。

 一方、朝方の取り引きが一巡した後は、日経平均は徐々に下げ幅を縮小した。時間外取引の米株先物がプラスで推移したほか、台湾市場で半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の株価がしっかりだったことが安心感につながり、半導体関連株は総じて堅調に推移し、指数を支えた。
 欧米の金融不安への警戒感は根強いが、市場では「当局の対応が迅速だったこともあって、目先の不安は落ち着いていくだろう」(三菱UFJ国際投信の石金淳チーフストラテジスト)との声が聞かれた。日本株は割安感が継続している上、原油安は日本にメリットがあるとして「4―6月の株価はじり高方向ではないか」(石金氏)との見方が出ていた。
 TOPIXは0.29%安の1957.32ポイント、東証プライム市場指数は前営業日比0.29%安の1007.08ポイントで取引を終了した。プライム市場の売買代金は2兆4742億2500万円だった。東証33業種では、値上がりは非鉄金属やサービス業、ゴム製品など17業種で、値下がりは保険業や医薬品、精密機器など16業種だった。
 リクルートHLDG<6098.T>や東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>が堅調だった一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>や第一生命HLDG<8750.T>は軟調だった。
東証プライム市場の騰落数は、値上がりが1059銘柄(57%)、値下がりは688銘柄(37%)、変わらずは89銘柄(4%)だった。11681

 

R5.3.24 東京株式市場・大引け=小幅続落、欧米の金融不安や円高が重し

[東京 24日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比34円36銭安の2万7385円25銭と小幅に続落した。欧米の金融不安や利上げ継続による米経済の減速懸念が重しとなり、指数寄与度の大きい銘柄の一角や金融株が軟調だった。円高も嫌気された。一方、米ハイテク株高を好感して買われた半導体株などが指数の下値を支えた。

 日経平均は50円安と小幅安で寄り付き、午前中に一時前営業日比約160円安の2万7257円44銭まで下落した。午後は週末前の手掛けにくさもあって一進一退の値動きとなり、大引けにかけて次第に下げ幅を縮小した。前日海外市場での原油安を受けてエネルギー関連株が軟調だったほか、為替の円高基調を嫌気し輸出株も売られた。

 GCIアセットマネジメントのポートフォリオマネージャー・池田隆政氏によると、米長期金利が低下傾向となっていることで「ここ1週間ほどはグロース(成長)株を買いバリュー(割安)株を売る動きがみられている」といい、目先も米金利をにらみながら物色の流れとなりやすい。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し市場は次の材料待ちともなっており、「今後は企業業績を確認しながら、市場がどう反応するか見極めたい」(池田氏)という。
根強い金融不安や円高が重しとなりやすいものの、内需株などでは「小売り関連の月次統計は堅調で、国内のコロナ禍からの経済正常化が引き続き支援材料となりそうだ」(国内証券・ストラテジスト)との指摘があった。

 TOPIXは0.10%安の1955.32ポイントで取引を終了。東証プライム市場指数は0.10%安の1006.03ポイントだった。東証プライム市場の売買代金は2兆5249億6200万円だった。東証33業種では、海運業、電気・ガス業、医薬品など13業種が値上がり。鉱業、その他金融業、保険業など19業種は値下がりし、陸運業は変わらずだった。

 個別では、前日に日本産業パートナーズ(JIP)の再建案受け入れを決めた東芝<6502.T>は4.2%高。再建への道筋が明確になったことが買い安心感を誘い、一時6.4%高まで上昇した。金融株は軟調で、りそなホールディングス<8308.T>が2.6%安、千葉興業銀行<8337.T>が2%安、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>が1.1%安。プライム市場の騰落数は、値上がり850銘柄(46%)に対し、値下がりが881銘柄(47%)、変わらずが105銘柄(5%)だった。 12623

 

上値重い、金融不安への警戒続く=来週の東京株式市場

 [東京 24日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、上値の重い展開が想定されている。投資家の金融不安への警戒感が根強い上に、目立ったイベントもないことから、積極的に上値を追う動きは限られそうだ。日経平均は2万7500円を上抜けると利益確定売りも出やすいとみられている。方向感が定まらない中で、ディフェンシブ銘柄は物色対象となりそうだ。加えて、銀行などのバリュー株(割安株)にも見直し買いが入る可能性があるとみられる。

日経平均の予想レンジは2万7000―2万7600円。

<ブーケ・ド・フルーレット 代表 馬渕治好氏>

「焦点は欧米の金融システム不安の動向だろう。市場では、金融不安が経済に悪影響を与える可能性や、さらには企業収益全般に波及するのではないかという懸念が出ている。金融不安に関連するニュースが出るたびに一喜一憂する地合いはしばらくは続くのではないか。こうした環境下でも、インバウンド(訪日客)関連やディフェンシブ銘柄などには買いも入るとみられ、日本株の支えとなりそうだ。ただ、2万7500円を超えると、利食い売りも出るとみられ、戻っても2万7600円程度だろう」

<岩井コスモ証券 投資情報センター長 林卓郎氏>

「相場は徐々に安定を取り戻す局面に入るとは思うが、海外と同様にすっきりしない状況は続くとみられる。物色動向に目立った色合いは出ないとみられるが、軟調だった銀行などのバリュー株や高配当銘柄には見直し買いが入ってもおかしくない。最近の円高基調は重荷だが、米国の金利がもう一段低下する可能性は高くはないとみられ、円高進行にも歯止めがかるだろう。地合いは改善に向かっており、悲観的にはみていない」

 

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