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今週の株式投資R4.3.14-18 彼岸底にむけて

東京ロイター

[東京 14日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、下値模索の展開が想定されている。ウクライナ情勢の先行きが不透明な中、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、地政学リスクと金融引き締めへの警戒感が相場の重しになるとみられている。FOMCは無難通過との見立てが優勢なものの、予想外にタカ派材料が飛び出さないか警戒する声もある。

日経平均の予想レンジは2万4500―2万5500円。

足元の相場について「外部環境に左右されており、事態が好転するのを待つしかない」(国内証券)との声は多い。週末の米国版メジャーSQや国内での連休を控えて、手控えムードになりやすいとみられている。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「ボラティリティーの高い状況は続くだろう。上値は重そうだが、状況が悪化しなければ慎重に上値を試し得る」とみている。

ロシア側の強硬姿勢に変化はみられず、トルコでの外相会談は停戦に向けた進展がなかった。市場では「見解の隔たりは容易には埋まりそうにない」(国内証券)との見方が優勢で、戦闘が激化するようなら緊張長期化や経済への悪影響が警戒されすい。

欧米などの対ロ経済制裁で、原油・天然ガスや非鉄金属、穀物などの供給が制約されるとの思惑から価格が高止まりし、インフレ高進と景気後退が同時進行するスタグフレーションへの警戒感がくすぶっている。金融当局は難しいかじ取りを迫られており、米金融政策の行方を読む上で、15─16日のFOMCにあらためて関心が向かいそうだ。

3月FOMCでの初回0.25%の利上げ開始は市場で織り込まれてきた上に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は議会証言でウクライナ情勢への配慮をにじませた。今回のFOMCでの大きな波乱は見込まれていない。

ただ、ウクライナ情勢に配慮してハト派化するとの思惑もあった10日の欧州中央銀行(ECB)理事会は、量的緩和政策の縮小の加速を表明しており「欧米の金融当局は、ウクライナ情勢より物価上昇を警戒するスタンスのようだ」(別の国内証券)と風向きの変化を感じ取る向きもある。

ニッセイ基礎研の井出氏は「FRBはウクライナ情勢とインフレ抑制のバランスを取ろうとしている。バランスが崩れなければ、相場の下値は固くなっていくだろう」と話している。

このほか中国では15日に1―2月の鉱工業生産や小売売上高など重要指標が発表される。国内では17―18日に日銀の金融政策決定会合を控えているが、市場では足元の政策変更は見込まれていない。16日は春闘の集中回答日。

R4.3.14

[東京 14日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比145円07銭高の2万5307円85銭と、反発して取引を終えた。朝方に高く寄り付いた後も上値を伸ばし、一時400円超高となる場面もあった。ウクライナ情勢の好転への思惑や円安が支えとなった。ただ、買い一巡後は伸び悩んだ。日経平均は午前中に一時、468円23銭高の2万5631円01銭に上昇した。米主要株価3指数先物の堅調だったほか、WTI原油先物が軟調で、投資家心理を支援した。日本株の値ごろ感を意識する声も聞かれた。ドル/円が117円台後半へと上値を伸ばし、自動車株など輸出関連がしっかりだったほか、岸田文雄首相が政府の観光支援事業「GoToトラベル」の再開に前向きな考えを示したと週末に伝わり、旅行関連や空運、陸運株が買われた。米金利が上昇する中、金融株が堅調だった。一方、高PER(株価収益率)銘柄の一角は上値が重かった。もっとも、上昇の背景について、前週末に休日中の持ち越しリスクを落とすために売っていた分の買い戻しが主体だったとの見方もあった。

 ウクライナ情勢については「まだ予断を許さない」(国内証券)との慎重な声も根強く、日経平均は買い一巡後に伸び悩んだ。ウクライナ情勢を巡っては、ロシアとウクライナの当局者らが13日、交渉でこれまで最も進展があったとの認識を示し、数日内に何らかの成果が出る可能性に言及したと伝わっていた。一方、米金融引き締めの先行きへの警戒感もくすぶっている。米国債のイールドカーブのフラット化を受けて、市場では「(インフレと景気後退が同時進行する)スタグフレーションは不可避との織り込みではないか」(水戸証券の酒井一チーフファンドマネージャー)と警戒する声が聞かれた。
15―16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は無難通過との見方が優勢だが「インフレリスクは広がっている。どういう発言があるかは予断を許さない」(酒井氏)との見方もある。
 TOPIXは0.71%高の1812.28ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は2兆6680億6100万円だった。東証33業種では、値上がりは空運業や保険業、不動産業など28業種で、値下がりは電気・ガス業や精密機器、小売業など5業種だった。トヨタ自動車<7203.T>や東京エレクトロン<8035.T>が堅調だったほか、エイチ・アイ・エス<9603.T>が大幅高。ANAホールディングス<9202.T>、三井不動産<8801.T>、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>もしっかりだった。一方、ファーストリテイリング<9983.T>やリクルートホールディングス<6098.T>、エムスリー<2413.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>は軟調だった。東証1部の騰落数は、値上がりが1445銘柄(66%)、値下がりは655銘柄(30%)、変わらずは80銘柄(3%)だった。1304

R4.3.15

[東京 15日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比38円63銭高の2万5346円48銭と小幅に続伸して取引を終えた。朝方に安く寄り付いたが短時間で切り返し、100円超高となる場面もあった。ウクライナ情勢への警戒感は根強い一方、原油安や為替の円安、中国の良好な経済指標が支えとなり、方向感に乏しい動きとなった。

日経平均は朝方に反落でスタート。前日の米国株式市場でハイテク株比率の高いナスダックが大幅安となったことを嫌気する形となった。その後は、原油価格の上昇一服や円安基調を支えに、株価はプラスに切り返した。ただ、勢いは続かず伸び悩み、方向感に乏しい動きとなった。市場では「積極的に売買する手がかりに乏しく、機械が主導するような相場となった」(ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役)との声も出ていた。中国で良好な経済指標が発表され日経平均は一段高となる場面があったが、大引けにかけては次第に上げ幅を縮めた。相場の重しとなっているウクライナ情勢を巡っては「さらなる悪材料は限られるのではないか。株価は底値固めをしている。ただ、上伸の材料も欠いている」(菊池氏)との指摘もあった。ウクライナとロシアの協議は15日にも継続が見込まれ、進展があるか関心が寄せられている。

TOPIXは0.79%高の1826.63ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は2兆7976億2900万円だった。東証33業種では、値上がりは保険業や空運業、電気・ガス業など25業種で、値下がりは鉱業や非鉄金属、石油・石炭製品など8業種だった。アジア株が軟調に推移し、ソフトバンクグループ<9984.T>やファーストリテイリング<9983.T>といった、中国関連と目される銘柄がさえなかった。資源安を受け、INPEX<1605.T>、住友金属鉱山<5713.T>なども下落。アステラス製薬<4503.T>も軟調だった。一方、米金利が上昇する中、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>や第一生命ホールディングス<8750.T>がしっかり。信越化学工業<4063.T>、リクルートホールディ
ングス<6098.T>も高かった。東証1部の騰落数は、値上がりが1761銘柄(80%)、値下がりは373銘柄(17%)、変わらずは46銘柄(2%)だった。1254

R4.3.16

[東京 16日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比415円53銭高の2万5762円01銭と、大幅続伸して取引を終えた。ウクライナ情勢の不透明感が残るものの、前日の米国株式市場の上昇や、原油価格の急落などが支援し、日本株は終始上値をうかがう動きが続いた。
日本株は朝方から幅広く物色された。主力株で堅調な銘柄が目立ったほか、半導体関連などグロース(成長)株もしっかりだった。新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置について16都道府県で21日の期限で解除となる可能性が高まり、経済再開(リオープン)関連銘柄も物色された。 
午後には、中国政府が国内企業の海外上場を支持する方針を示したと伝わり、ソフトバンクグループ<9984.T>株が急騰した。日経平均は一時、478円46銭高の2万5824円94銭の高値をつけ、一段高となった。
 
市場の関心は、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表やパウエル連邦準備理事会(FRB)議長会見に移っている。市場では「ハトともタカとも受け取られない無難な会合になるのではないか」(国内証券)との声が多く、会合後に米金利が落ち着いていれば「これまで売られてきたグロース株の見直しが進むかもしれない」(同)との思惑も聞かれた。足元の相場については「ウクライナ情勢と米金融引き締めといった2大リスク要因は、最悪のシナリオを織り込んだ印象がある。日経平均は下値を切り上げてきており、底を固めながらの戻り基調が続くのではないか」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用本部長)との見方も出ていた。TOPIXは1.46%高の1853.25ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は3兆1947億3900万円だった。東証33業種では、値上がりは空運業やサービス業、電気機器など28業種で、値下がりは水産・農林業や倉庫・運輸関連業、鉱業など5業種だった。東京エレクトロン<8035.T>など半導体関連株や電子部品株が総じて堅調だったほか、ソニーグループ<6758.T>などの主力銘柄、エムスリー<2413.T>などのグロース株もしっか
りだった。ANAホールディングス<9202.T>などリオープン関連も買われた。一方、第一三共<4568.T>やオリンパス<7733.T>はさえなかった。東証1部の騰落数は、値上がりが1331銘柄(61%)、値下がりは749銘柄(34%)、変わらずは100銘柄(4%)だった。1310

R4.3.17

[東京 17日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は前営業日比890円88銭高の2万6652円89銭と大幅に4日続伸した。米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後、大幅に上昇した16日の米国株式市場の流れを引き継いだ。市場では安心感が生じ、主力銘柄を中心に幅広く物色され、日経平均は3%を超す上昇となった。日経平均は寄り付きで心理的節目の2万6000円を回復した後も上げ幅を拡大し、940円93銭高の2万6702円94銭で高値をつける場面があった。米株高のほか、
外為市場での円安進行、香港ハンセン指数と上海総合指数の大幅高も下支えとなった。FOMCでは、大方の予想通りフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げた。今年末時点での金利見通しは1.75─2.00%と、一部投資家の予想よりタカ派的となった。

市場では「大きなイベントを通過したことで、不透明感が解消し安心感が広がっている。ウクライナ情勢も悪材料は織り込み、最悪期は脱したとの見方が優勢で、地合いが改善しつつある」(岡三アセットマネジメントの前野達志シニアストラテジスト)との声が聞かれた。TOPIXは2.47%高の1899.01ポイント。東証1部の売買代金は3兆5544億4100万円。東証33業種では、全業種が上昇した。業種別では、精密機器、機械、電気機器、化学工業、ガラス・土石製品、非鉄金属などが値上がり率上位を占めた。個別では、ファーストリテイリング<9983.T>や東京エレクトロン8035.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、ダイキン工業<6367.T>、ファナック<6954.T>などの値がさ株が大
幅高。バンダイナムコホールディングス<7832.T>、東日本旅客鉄道<9020.T>などはさえなかった。

東証1部の騰落数は、値上がりが1872銘柄(85%)、値下がりが250銘柄(11%)、変わらずが58銘柄(2%)だった。1323

R4.3.18

[東京 18日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は5日続伸した。連邦公開市場委員会(FOMC)を通過し不透明要因が解消され欧米株が値を戻したことを好感し、上値を追う展開となった。期末が接近しており、配当取りが意識されていることも下値を支える要因となっている。ただ、明日から3連休となるため、徐々に模様眺め気分が広がった。

17日の米国株式市場は続伸、主要3指数が軒並み1%超となった。前日の米連邦準備理事会(FRB)の利上げが消化され、ロシアのデフォルト(債務不履行)の可能性を巡る懸念が後退した。ロシア財務省は17日、ドル建て国債2本の利払いに向け送金を行ったと発表した。

これを受けて日本株は、底堅く推移。ただ、前日までの上昇が急ピッチだったほか、連休を控えた週末とあって積極的なポジション取りに動く投資家が少なく、堅調な地合いを保ちながらも引けにかけて見送りムードを強めた。日銀政策決定会合については、想定通り金融緩和政策が維持されたことから、株価への影響は限定的だったという。市場では「期末が近づいており、配当金を狙った買いが流入する。これが下支えになり、目先は大きく崩れにくい」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏)との声あ聞かれる。物色面では「これまで上昇した銘柄が伸び悩み売られた銘柄が買われる、循環物色の流れとなっている」(野村証券・ストラテジストの澤田麻希氏)との指摘があった。

TOPIXは0.54%高。東証1部の売買代金は4兆1427億0200万円で、東証33業種では非鉄金属、不動産などが上昇し、輸送機器の下落が目立つ。個別では、日本郵船<9101.T>が上場来高値を更新したほか、ソニーグループ<6758.T>や東京エレクトロン<8035.T>がしっかり。DOWAホールディングス<5714.T>が買われ、レノバ<9519.T>も大幅上昇となったが、トヨタ自動車<7203.T>はさえない。東証1部の騰落数は、値上がり1268銘柄に対し、値下がりが826銘柄、変わらずが87銘柄だった。1348

来週は・・・

[東京 18日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、戻りを試す展開となる見通しだ。年度末を意識した配当権利取りやドレッシング買いが入るとみられている。ただ、地政学リスクや資源高など懸念要因が払拭されたわけではない。中国リスクもくすぶる中、神経質でボラティリティーが高い展開が続く可能性は大きい。

日経平均の予想レンジは2万6500円─2万7500円

日経平均は18日までに5連騰。週間では1664円65銭(6.61%)上昇し、ウクライナ情勢が緊迫化する前の2万7000円台目前まで回復した。地政学リスクへの警戒感は残るものの、15─16日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過し不透明感がいったん後退している。

ウクライナ情勢は引き続き予断を許さないが、原油価格は上昇が一服。「ロシア軍がウクライナの原発を攻撃し相場がパニックに陥っていた時期と比較すると落ち着いた。最悪期は脱したとの見方が広がっている」(国内証券)という。

一方、来週は年度末の接近が意識される見通しだ。配当権利狙い(配当権利付き最終日は29日)や期末を意識した機関投資家のドレッシング買いが流入しやすいとの期待感がある。また、国内では21日の期限で現在18都道府県に適用中のまん延防止等重点措置が、約2カ月半ぶりに全面解除される。

市場では「需給はタイトで、買い優勢となりやすい。経済再開ムードが高まる中、桜前線と共に株高前線が期待できる」(みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジスト)との明るい声も出ている。

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