今日の一言:人間万事塞翁が馬

今週の株式投資R4.2.14-18 ウクライナとロシアに振り回される

東京ロイター

[東京 14日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、不安定な展開が想定されている。ウクライナ情勢を巡る緊張感や16日に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨への警戒感が高まっているためだ。一方、堅調な企業業績を背景に株価は下値の堅さも意識されてきており、相場の下支えになると期待されている。

日経平均の予想レンジは2万6700円―2万7700円。

前週末の米国株は、1月米消費者物価指数(CPI、10日発表)が市場予想を上回る結果となったほか、ウクライナ情勢を巡る緊張感が一段と高まって大幅下落した。週前半の日本株の上値を重くしそうだ。

CPIの発表を受け米長期金利は一時2%を上回り、米国の利上げペース加速の織り込みは進んだ。ただ、米連邦準備理事会(FRB)の資産縮小(QT)のスケジュールなど不透明感は払拭されていないとの見方もくすぶっている。引き続きFOMC議事要旨(16日発表、1月25―26日開催分)への市場の関心は高く、イベント通過に伴って金融引き締め加速への思惑が強まらないかが警戒されている。

加えて、ウクライナ情勢の緊張感が高まっている。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は11日、ロシアはウクライナ侵攻に十分な兵力を集結させており侵攻がいつ始まってもおかしくはないとの見方を示した。バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は12日、ウクライナ情勢を巡って電話で約1時間会談したものの、緊張緩和に向け事態が大きく動くことはなかった。

「複数の不確実性の高まりを受けて、相場は不安定になりやすい」(国内証券)とみられている。一方、ウクライナでの緊張が武力衝突に発展しないかぎり、堅調な企業業績を背景に押し目買いが株価の支えになるとの見方もある。国内の決算シーズンはヤマ場を越え「全体的には悪くない」(国内証券)と受け止められている。目先のリスク要因が和らげば、株価は慎重に戻りを試す展開も想定される。

国内では、15日に10―12月実質国内総生産(GDP)1次速報が発表される。オミクロン株感染拡大の影響は年明け以降に本格化しており、今回の指標は相場への影響は限定的とされる。18日発表の1月全国CPIも「伸びが続いたとしても、日銀は動きそうにない」(国内生保)との見方が多い。

R4.2.14

[東京 14日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は大幅に反落した。ウクライナ情勢の緊迫化や米金融引き締め加速への警戒感を背景とした前週末の米株安が相場の重しとなった。朝方に安く始まった後も下げ幅を広げ、日経平均は心理的節目である2万7000円を割り込む場面がみられた。日経平均は400円近い大幅安で寄り付いた後も下げ幅を拡大し、一時748円43銭安の2万6947円65銭で安値をつけた。後場は下げ幅を小幅に縮小し、レンジ内での小動きに終始。前場のTOPIXが2.02%安で引けたことを受けて、日銀のETF(上場投資信託)買いへの思惑が指数を下支えした。TOPIXは前営業日比1.63%安の1930.65ポイント。東証1部の売買代金は3兆1992億0500万円だった。東証33業種ではゴム製品、精密機器、電気機器、機械、輸送用機器などの25業種が下落。半面、鉱業、石油・石炭製品、不動産業などの8業種は値上がりした。

松井証券の窪田朋一郎投資メディア部長は「日本は前日まで3連休だったこともあり、きょう米国のCPIショックが遅れて到来。米長期金利の上昇を嫌気したグロース株売りの色彩が圧倒的に強くなっている」との見方を示した。個別では、ファーストリテイリング<9983.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、ダイキン工業<6367.T>、エムスリー<2413.T>、テルモ<4543.T>、アドバンテスト<6857.T>などが大幅安。半面、三菱地所<8802.T>、大日本印刷<7912.T>、コムシスホールディングス<1 721.T>は買われた。そのほか、東京エレクトロン<8035.T>は1%超安。前週末に業績見通しの上方修正を発表したが、全体相場の地合い悪化に連れ安となった。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532.T>は決算が素直に好感され、13%超高となった。資源価格の上昇を背景に、石油関連株も高かった。東証1部の騰落数は、値上がりは507銘柄(23%)、値下がりは1606銘柄(73%)、変わらずは69銘柄(3%)だった。1216

R4.2.15

[東京 15日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続落した。ウクライナ情勢の緊迫化や米国での金融引き締め加速への警戒感が相場の重しになった。反発して寄り付いた後はマイナスに転じ、軟調な推移が続いた。一時300円超安に下げ幅を拡大する場面もあった。

日経平均は約100円高と反発して寄り付いた後、短時間でマイナスに転じ、心理的節目の2万7000円を再び下回った。米国での金融引き締めや、ウクライナ情勢への警戒感に加え、資源高によるインフレ高進への警戒感が株価を下押しした。原油先物は、ウクライナ情勢が緊迫化する中で上昇し、2014年以来の高値圏にある。市場では「不確実性が高すぎて身動きできない」(国内証券)との声が聞かれた。各セクター内でまちまちな値動きとなり、方向感は定まらなかった。中小型株に比べて大型株の下げが目立ち「全般的に前日までの反対売買」(別の国内証券)との見方もあった。

海外情勢に市場の関心が集まる中、海外市場の動向が投資家心理に影響しやすい。米株先物は午前中は小幅にプラス推移だったが、後場にマイナスに転じた。日経平均は下押しが強まり、前営業日比354円68銭円安の2万6724円91銭に一時下落する場面があった。その後は大引けにかけ、下げ渋った。市場では「短期筋の売り仕掛けが観測されたが、一気に走る感じにはならず、一定の底堅さが示された」(岩井コスモ証券の林卓郎投資情報センター長)との声が出ていた。「堅調な企業業績や、国内での新型コロナ新規感染者数鈍化の思惑が支えになっている」(林氏)という。

TOPIXは0.83%安の1914.70ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は3兆0589億7000万円だった。東証33業種では、サービス業、保険業、鉱業など25業種が値下がりした。値上がりはゴム製品、小売業、食料品など8業種だった。個別ではリクルートホールディングス<6098.T>が12%超安となり、日経平均を約75円押し下げた。クボタ<6326.T>も大幅安。両銘柄は、前日に市場予想を下回る業績見通しを発表し失望感が広がった。このほか、東京エレクトロン<8035.T>や信越化学工業<4063.T>といった値がさの半導体関連株、ソフトバンクグループ<9984.T>の下げも指数の重しになった。トヨタ自動車<7 203.T>やソニーグループ<6758.T>などの主力株もさえなかった。一方、ファーストリテイリング<9983.T>や電通グループ<4324.T>は堅調だった。

東証1部の騰落数は、値上がりは872銘柄(39%)、値下がりは1223銘柄(56%)、変わらずは87銘柄(3%)だった。朝方に内閣府が発表した実質国内総生産(GDP)1次速報によると、2021年10―12月期の成長率は前期比1.3%増、年率換算で5.4%のプラス成長となった。
ロイターの事前予測の前期比1.4%増、年率換算5.8%のプラス成長を小幅に下回ったが、相場に与えた影響は限定的だった。1148

R4.2.16

[東京 16日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比595円21銭高の2万7460円40銭と、大幅に反発して取引を終えた。ウクライナを巡る地政学リスクに対する過度な警戒感が和らいで、米国市場でリスクオンムードが広がった流れを引き継いだ。主力株や半導体関連株を中心に買い戻す動きが相場を牽引した。日経平均は約400円高と反発して寄り付いた後も上げ幅を拡大した。午後にかけても断続的な買いが継続して高値を維持し、一時前営業日比620円90銭高の2万7486円09銭の高値をつけた。米市場でハイテク比率の高いナスダック総合やフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が大幅高となる中、半導体関連や電子部品の買い戻しが広がり、指数を押し上げた。もっとも、地政学リスクは払拭されてはおらず、米金融引き締め加速への警戒感もくすぶっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月25─26日開催分)や米1月小売売上高の発表を前に、日経平均は25日移動平均線(2万7474円43銭=16日)付近で上値が抑えられた。
米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めは、市場の織り込みが進んできているものの、前回の議事要旨発表時に相場が荒れた経緯もあって警戒感は根強い。1月分の議事要旨については「内容に大きなサプライズはないとみているが、市場の反応を見極めたい」(ピクテ投信投資顧問の糸島孝俊ストラテジスト)との声が聞かれた。

TOPIXは1.67%高の1946.63ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は2兆8246億9700万円だった。東証33業種では、31業種が上昇。上昇率上位にはゴム製品や海運業、空運業が並んだ。下落したのは鉱業と石油・石炭製品の2業種だった。個別では、東京エレクトロン<8035.T>、ファーストリテイリング<9983.T>、アドバンテスト<6857.T>などの値がさ株の上昇が日経平均の押し上げに寄与した。前日に自社株買いを発表したブリヂストン<5108.T>は大幅高。一方、住友金属鉱山<5713.T>やINPEX<1605.T>、出光興産<5019.T>、キーエンス<6861.T>は下落した。東証1部の騰落数は、値上がりは1792銘柄(82%)、値下がりは320銘柄(14%)、変わらずは70銘柄(3%)だった。1145

R4.2.17

[東京 17日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比227円53銭安の2万7232円87銭と、反落して取引を終えた。前場はマイナス圏ながらもみあいが続いていたが、後場にはウクライナ情勢を警戒しリスクオフが強まり一段安となる場面があった。その後は戻り歩調となったものの、地政学関連のヘッドラインには神経質になっており、海外市場の動きを見極めたいとの声も聞かれた。

前場の日経平均は狭いレンジ内でのもみあいが継続していたが、後場になりウクライナ東部の親ロシア勢力がウクライナ政府軍から砲撃を受けたとロシア通信(RIA)が報じ、一時379円48銭安の2万7080円92銭まで急落した。株安のほか、金利の低下、原油価格の上昇、円高など「典型的なリスクオフムードの動き」(運用会社)が強まった。ただ、すぐに「真相は不透明」との見方が広がり、動きは一服した。市場では「17日の欧州・米国市場での動きを見極めたいところ。投資家は事実確認
を待っている段階。現地は早朝ということもあり、まだ反応しづらい」との(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)との声が聞かれた。

個別では、リクルートホールディングス<6098.T>が5%超安、キーエンス<6861.T>が4%超安となるなど、高PER(株価収益率)銘柄の大幅安が目立った。半導体関連では信越化学工業<4063.T>、SUMCO<3436.T>などが売られ、アドバンテスト<6857.T>、東京エレクトロン<8035.T>などが買われるなどまちまちだった。そのほか、ファーストリテイリング<9983.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、ファナック<6954.T>が軟調。資生堂<4911.T>、三菱商事<8058.T>、豊田通商<8015.T>は買われた。

TOPIXは0.79%安の1931.24ポイント。東証1部の売買代金は2兆9200億8400万円だった。東証33業種では、サービス業、倉庫・運輸関連、情報・通信業、輸送用機器などの26業種が値下がり。鉱業、卸売業、陸運業などの7業種が値上がりした。東証1部の騰落数は、値上がりは541銘柄(24%)、値下がりは1572銘柄(72%)、変わらずは69銘柄(3%)だった。1150

R4.2.18

[東京 18日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比110円80銭安の2万7122円07銭と、続落して取引を終えた。朝方にはウクライナ情勢への警戒感から日経平均も大きく下落する場面があったが、米ロ外相会談の可能性が伝わると下げ幅を縮小した。

朝方の日経平均は、ウクライナ情勢への警戒感の広がりを受けて安く始まり、心理的節目の2万7000円を割り込んで前営業日比440円33銭安の2万6792円54銭に下げ幅を拡大する場面があった。その後、ロシアがウクライナを侵攻しなければブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相が来週会談すると米国務省が明らかにしたことが伝わり、株価は急速に持ち直した。午後には、前営業日比16円71銭安の2万7216円16銭まで下げ幅を縮小した。大引けにかけては、週末を控えて持ち高を傾ける動きは限られた。市場では「企業決算が一巡して手掛かりを欠く中、外部環境が落ち着かず、先物主導で振らされた」(東洋証券の大塚竜太ストラテジスト)との声が聞かれた。午後にはいったん落ち着いた動きとなったが、ウクライナ情勢は引き続き予断を許さないとみられており「不安定な相場はしばらく続くのではないか」(大塚氏)という。

東京エレクトロン<8035.T>、アドバンテスト<6857.T>といった半導体関連や、ファナック<6954.T>、リクルートホールディングス<6098.T>などの下げが目立った。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>などメガバンクのほか、地銀株の一角も安かった。一方、商船三井<9104.T>などの海運株が堅調に推移し「資金の逃避先として高利回り銘柄の人気が高まったようだ」(国内証券)との見方が聞かれた。ドル/円が円安寄りで推移する中、トヨタ自動車<7203.T>など自動車株もプラスが目立った。ファーストリテイリング<9983.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>もしっかりだった。TOPIXは0.36%安の1924.31ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は2兆8069億2600万円だった。東証33業種では、鉱業、ゴム製品、空運業、銀行業など22業種が下落した一方、海運業、輸送用機器、医薬品など11業種が上昇した。東証1部の騰落数は、値上がりが916銘柄(41%)、値下がりは1166銘柄(53%)、変わらずは100銘柄(4%)だった。1151

来週は・・・

[東京 18日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、神経質な展開が想定されている。ウクライナ情勢を巡る不透明感は依然として根強く、来週も関連報道に一喜一憂する展開が続きそうだ。ただ、需給面では「売り飽き」の兆しもみられるといい、2万7000円台での値固めへの期待も出ている。

日経平均の予想レンジは2万6500円―2万7500円。

ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、金融市場は強弱入り交じる関連報道に一喜一憂する展開が続いている。今週の序盤は地政学リスクと米金融引き締め加速への警戒感が重しとなって急落で始まったが、ロシア部隊の一部撤退が伝わると株価は急反発した。その後、米国やNATOからロシア軍撤退は未確認との認識が伝わって、再び上値が重くなるなど、荒い値動きを繰り返した。

米国務長官とロシア外相の会談見通しが伝わった週末の東京市場では、ひとまず落ち着きを見せたものの、市場からは「どっちに転ぶか視界が利かなすぎる」(国内証券)と困惑の声が聞かれる。

ブリンケン米国務長官は、ロシアがウクライナに侵攻しないことを条件に、ロシアのラブロフ外相による来週の会談要請を受諾したと米国務省が発表した。「少なくとも週前半は落ち着いた相場を期待したい」(同)との声がある。

ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「軍事衝突に発展しないとの見方もあれば、北京オリンピック閉幕と同時に侵攻するとの見方もあり、投資家は何を信じていいかわからない状態」と分析する。ただ、状況の改善を示唆する新たな好材料が週末に出た場合、週明けの株価は急反発する可能性もあるという。

一方、需給面では明るい兆しを指摘する声もある。東証1部の売買代金は18日までの3営業日連続で3兆円を下回っていることから、1月安値(2万6044円52銭=1月27日)に対する「2番底探りの展開になっている」と、みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジストは指摘する。テクニカル・需給的には、2番底の商いは1番底に比べて薄くなる傾向があるという。ウクライナ関連報道で相場が弱くなる場面では、1月安値を割り込まないかが焦点になりそうだ。

主なスケジュールでは、25日に米国でPCEコアデフレータの公表を控えている。21日の米国株式市場は大統領の日、24日の東京株式市場は天皇誕生日に伴い、それぞれ休場となる。