今日の一言:人間万事塞翁が馬

今週の株式投資R3.9.27-R10.1 波乱含みの展開だ。

東京ロイター

R3.9.27 

[東京 27日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は小幅に反落した。中国株の軟調な動きが嫌気され、戻り待ちの売りが重しとなった。一方、月末が近づき、配当権利取りが活発化したほか、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少し、緊急事態宣言の期限通りの解除の思惑が下支えした。

前週末の米国株式市場では、ダウ工業株30種<.DJI>とS&P総合500種<.SPX>が小幅続伸。バイデン米大統領が掲げる大型の歳出法案や超党派インフラ投資法案を巡る進展が注目された。

週明けの日本株は、好地合いを引き継いで上昇してスタート。明日の配当権利確定日を控えた権利取りの動きが相場を支えたとの見方もある。時間外取引で米株先物が堅調に推移したことも好感され、上海株や香港株がプラスで始まると上げ幅が拡大した。米金利上昇を受けて銀行株が買われたほか、新型コロナウイルス新規感染者数の減少
を受けてリオープン(経済再開)関連銘柄が人気化した。ただ、その後に上海株がマイナスに沈み、香港株も上げ幅を削った。これが投資家心理の重しとなり、指数寄与度の大きいソフトバンクグループ<9984.T>が上げ幅を縮め、小
幅マイナスで取引を終えた。
日経平均は、先週の急落時に開いた窓を朝方の上昇で埋め、いったん達成感が出たとされ、「売り込みにくいものの、高値圏で買った向きの戻り待ちの売りが重しとなった」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長)との声が聞かれた。大引けにかけては、前営業日終値付近での小動きが続いた。
東証1部の騰落レシオは146.35%。120%以上に達すると過熱感の警戒水準とされ、テクニカル面では上値を追いにくいとの指摘も聞かれた。

TOPIXは0.14%安で取引を終了。小幅反落となった。東証1部の売買代金は3兆2582億9300万円だった。東証33業種では、下落率上位に海運業、機械、倉庫・運輸関連業が並んだ。一方、上昇率上位は鉱業、空運業、陸運業だった。

個別では、トヨタ自動車<7203.T>が3カ月ぶりに上場来高値を更新した。銀行株も、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>が年初来高値を更新するなどしっかりだった。新型コロナの新規感染者数が減少し、政府が緊急事態宣言を30日に全面解除の方向で調整との報道を受け、空運や陸運、旅行関連、外食、百貨店といったリオープン経済再開)銘柄にも物色が向かった。一方、日本郵船<9101.T>など海運株はさえなかった。

東証1部の騰落数は、値上がり736銘柄に対し、値下がりが1355銘柄、変わらずが96銘柄だった。975

R3.9.28 権利確定日

[東京 28日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続落。配当権利が確定するこの日は、配当狙いの買いが下支えになったものの、全体的には高値警戒感や明日からの実質下半期相場のスタートを前に見送りムードが支配した。大手証券の試算によると、日経平均の配当権利落ちは約182円とされ、これを短期間で埋め切れるかどうかが注目されている。

27日の米国株式市場はS&P総合500種<.SPX>とナスダック総合<.IXIC>が下落。今週に月末・四半期末を迎える中、米債利回りの上昇を背景にハイテク株が売られ、指数の重しとなった。一方、バリュー株は買われる展開となった。これを受けて日本株も、半導体関連株を中心にグロース株が売られ、軟調に推移。きょうは上半期の受け渡しベースの最終売買日で、配当権利取りの動きが株価を下支えするとみられたが、これまで高配当を手掛かりに買われていた海運株など明日の権利落ち後の下落を見越す形で大きく値を崩す動きも目立った。市場では「高値警戒感が強く利益確定売りが出やすい」(SBI証券・投資調査部部長の鈴木英之氏)との声も聞かれたものの、一方では先高期待からの押し目買いも活発化して大きく崩れることはなく「3万円を維持できれば健全な調整の範囲内と捉えられ、むしろ強地合いと見ることが可能」(野村証券・投資情報部ストラテジストの神谷和男氏)との指摘もある。

TOPIXは0.29%安。東証1部の売買代金は、3兆8105億0200万円と引き続き膨らんでいる。東証33業種では、海運業の値下がり率が大きかった半面、鉱業や繊維業、銀行業が値上がりした。個別では、日本郵船<9101.T>、東京エレクトロン<8035.T>などが安いが、三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>など銀行株がしっかり。

東証1部の騰落数は、値上がり1033銘柄に対し、値下がりが1057銘柄、変わらずが96銘柄だった。917

R3.9.29 

[東京 29日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は大幅続落。前日の米国株式市場が下げたことを受け、幅広く売られる展開となった。米長期金利の上昇から金融政策に対する不安感が高まった格好。きょうは実質的に下半期相場の初日で、大手証券の試算で配当の権利落ち分が約182円あったが、これを差し引いても大引けで400円を超す下げとなった。

28日の米国株式市場は大幅安。インフレの高止まりや米債務上限引き上げを巡る懸念が深まる中、米債利回りの上昇に反応し、主要3指数はいずれもほぼ2%かそれ以上値を下げ、金利に敏感なテクノロジー関連株の下落が目立った。これを受けて日本株も朝方から、ほぼ全面安商状。米国の債券市場で指標となる10年債利回り<US10YT=RR>が一時1.567%まで上昇するなど、金利上昇懸念が急速に高まり、半導体関連をはじめグロース株を中心に利益確定売りが先行した。注目された自民党総裁選挙は、引け後に決選投票の結果が確定し、岸田文雄前政調会長が勝利した。立ち会い時間中に行われた本選において改革色イメージが強い河野太郎行革担当相の票が伸び悩んだことを受けて下げ幅を拡大する場面があったものの、引けまでに本選後に下げた分を回復した。

市場では「米国市場で長期金利上昇を受けてハイテク株が下落した流れから、日本においても半導体関連をはじめとして同様の動きとなっている。投資家の不安心理が高まっているようだ」(野村証券・ストラテジストの澤田麻希氏)との声が聞かれた。TOPIXは2.09%安。東証1部の売買代金は、3兆8556億8000万円と商いが膨らんだ。東証33業種では、空運業を除く32業種が値下がりした。個別では、東京エレクトロン<8035.T>が大幅安となったほか、ソフトバンクグループ<9984.T>がさえない。半面、JR東日本<9020.T>などリオープン(経済再開)銘柄の堅調が目立った。

東証1部の騰落数は、値上がり336銘柄に対し、値下がりが1768銘柄、変わらずが50銘柄だった。922

R3.9.30 

[東京 30日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は4日続落となった。自民党総裁選などの注目イベントが一巡し、月末のポジション調整や日経平均入れ替えに絡んだ売買が交錯して一進一退となり方向感は定まらなかった。29日の米国株式市場はダウ工業株30種<.DJI>とS&P総合500種<.SPX>が上昇する一方、ナスダック総合<.IXIC>は続落。米国債利回りの上昇は一服したが、不安定な相場展開が続く中、ディフェンシブ銘柄を中心に買いが入った。日経平均は一進一退の展開。買い優勢で始まった後にマイナスに転じ、米株価指数先物が堅調に推移する中で再びプラスを回復する場面もあったが、大引けにかけてはあらためて売りに押された。

自民党総裁選の結果を受けた短期筋の思惑に加え、月末・半期末のポジション調整、日経平均の銘柄入れ替えなど複数の要因が重なり、市場では「いつも以上に需給が影響したようだ」(りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャー)との指摘が聞かれた。半導体関連など日経平均の3万円回復の原動力となったグロース株が調整色を深めた一方、外食や旅行関連、鉄道などリオープン(経済再開)銘柄や、ディフェンシブ銘柄が物色された。政策期待から、子育て関連などの一角も買われた。TOPIXは0.40%安で取引を終了。東証1部の売買代金は4兆3914億4100万円と大きく膨らんだ。東証33業種では、下落率上位には海運業、輸送用機器、電気・ガス業などが並んだ。上昇率上位は陸運業、医薬品、小売業などだった。トヨタ自動車<7203.T>など主力株に軟調な銘柄が目立ったほか、レーザーテック<6920.T>などの半導体関連株、日本郵船<9101.T>などの海運株がさえなかった。一方、塩野義製薬<4507.T>が大幅高。指数寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>も堅調だった。

東証1部の騰落数は、値上がり789銘柄に対し、値下がりは1298銘柄で全体の59%となった。変わらずは87銘柄だった。3月末の日経平均は2万9178円80銭、東証株価指数(TOPIX)は1954.00で、いずれも9月末には上回った。915

R3.10.1

[東京 1日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、大幅続落した。前日の米国株式市場の下げを嫌気して幅広く売られ、ほぼ全面安商状となった。取引時間中としては9月3日以来となる2万9000円割れとなり、菅義偉首相が自民党総裁選への不出馬を表明して以降の上昇分を消した。9月30日の米国株式市場では、インフレ高進や予算を巡る与野党の膠着を巡る懸念が重しとなり主要株価3指数は総崩れした。S&P総合500種<.SPX>は月間で、新型コロナウイルスの世界的感染拡大初期以来の大幅な下げを記録した。

これを受けて日本株も売り優勢でスタート。朝方に発表された9月日銀短観で大企業・製造業の業況判断指数(DI)が予想を上回ったことや、直近の急な下げに対する突っ込み警戒感があったことで下げ渋る場面もあったが、米中の経済減速への警戒感が相場の重しとなった。時間外取引で米株先物が軟化するにつれ株価全般は下げ足を速め、一時700円超安へと下落。大引けにかけては下げ渋る動きとなったが、上値も重かった。米国の金利動向や債務上限問題、中国の電力不足による供給制約リスクや不動産大手の資金繰り懸念など、複数の海外リスクが意識された。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは、9月の上昇相場は国内政治の変化への期待が追い風になったが、足元では後退してきているとみており「海外の変動要因に日本株が振らされる相場に逆戻りした」と指摘している。TOPIXは2.16%安で取引を終了。東証1部の売買代金は3兆5442億5600万円と膨らんだ。東証33業種では、鉱業を除く32業種が値下がりとなった。トヨタ自動車<7203.T>をはじめとする主力銘柄は総じて軟調だった。きょうから日経平均に採用された任天堂<7974.T>とキーエンス<6861.T>、村田製作所<6981.T>も売られた。日経平均への寄与度の大きいファーストリテイリング<9983.T>は大幅安となり、1銘柄で指数を120円程度押し下げた。一方、楽天グループ<4755.T>やNTT<9432.T>は堅調だった。

東証1部の騰落数は、値下がりが1981銘柄で全体の90%を占めた。値上がりは173銘柄、変わらずは20銘柄だった。899

来週の東京株式市場は ・・・

[東京 1日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、波乱含みが想定されている。国内は緊急事態宣言の解除による経済・社会活動の正常化や、新政権の経済対策に対する期待など引き続きモメンタムが強いものの、米国株式市場の調整など外部要因の懸念から下振れリスクが大きい状態となりそうだ。米株市場の動向を注視しつつ神経質な動きとなり、米株次第では乱高下する可能性もある。

日経平均の予想レンジは、2万8200円─2万9200円。

目先は4日の新閣僚人事が関心を集めつつも、日本株は米国株式市場に左右されやすくなりそうだ。9月上旬まで世界のマーケットの中で独歩高する状況にあったが、それは自民党総裁選挙で改革派の河野太郎行革相が勝利するとみられていたため。「それまで改革を先取りして短期の海外筋が買っていただけに、海外要因に不安に加えて期待後退で彼らが売りに転じたことも下げ要因になった」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏)という。日本株は独自のプレミアムで動くことが難しくなり、海外材料に左右される状態に変化した。

その海外材料については「中国恒大集団<3333.HK>の過剰債務問題が落ち着く一方で米国の債務上限問題が懸念材料として大きくなった。これをクリアしないと市場の不安感は拭えない」(三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則弘氏)との声が聞かれた。

このほか、長期金利上昇、インフレ圧力による早期の利上げ懸念、デルタ株の影響やサプライチェーンの混乱による景気の鈍化など、米国市場を取り巻く環境は悪化。さらに「米国株式市場は売りポジションの解消が一巡しており、当面は需給面で下支えになる要因がない」(大和証券・チーフテクニカルアナリストの木野内栄治氏)との指摘もある。

一方で、緊急事態宣言の解除などにより「日本のモメンタムは強く、内需関連などが下支えする可能性もある」(東海東京調査センターの中村氏)との声も聞かれた。短期的な大幅安によって自律的な切り返しも見込め、ボラティリティの高い相場になりそうだ。

来週は8日に米9月雇用統計の発表を控えており、週後半は模様眺めも想定される。国内では相次ぐ2月期企業の上半期決算の発表が見逃せない。