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今週の株式投資R3.11.8-12 いよいよ買い本番か?

東京ロイター

R3.11.08

[東京 8日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続落した。前週末に米株が上昇し支援材料になったものの、心理的節目に近づく中、戻り売りへの警戒感から上値は重く見送り商状となり、安値で引けた。日経平均は高く寄り付いたが、その後はマイナス圏に沈み、軟調な動きが続いた。時間外取引で米株指数先物がさえなかったほか、日経平均が心理的節目の3万円に近づく中、戻り売りも警戒された。中国恒大集団<3333.HK>の子会社が発行した米ドル建て債で、一部の債券保有者が6日に期限を迎えた利払いをアジア時間8日午前までに受け取れていないことが分かったと伝わったことも警戒された。

決算銘柄への物色は継続した。純利益予想を下方修正したホンダ<7267.T>や大林組<1802.T>が売られた半面、好決算を発表したオリンパス<7733.T>は大幅高となった。リオープン(経済再開)銘柄はしっかり。コロナによる死者数が1年3カ月ぶりにゼロとなったことを手掛かりに、ANAホールディングス<9202.T>などの空運やエイチ・ア
イ・エス<9603.T>などの旅行関連といった銘柄群が買われた。日本株の上値の重さについて市場では「供給制約などのリスク要因を背景に、買い方が慎重になっている面がある」(りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャー)との指摘が聞かれる。ただ、総じて決算は良好との見方は根強く、不透明要因の解消につれ「株価の見直しも進むだろう。基本的に上方向で見ていていいのではないか」(戸田氏)との見方が出ていた。TOPIXは0.30%安で取引を終了した。東証1部の売買代金は2兆8264億6500万円だった。東証33業種では、鉄鋼、水産・農林業、建設業など16業種が下げた一方、空運業、海運業など17業種げ値上がりした。

ソニーグループ<6758.T>は年初来高値を更新した後に値を消し、キーエンス<6861.T>や塩野義製薬<4507.T>などもさえなかった。一方、日本郵船<9101.T>など海運株は堅調だった。東証1部の騰落数は、値上がり804銘柄に対し、値下がりが1276銘柄、変わらずが103銘柄だった。1143

R3.11.09

[東京 9日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続落した。米株高を好感して始まったものの、円高や時間外取引で米株先物が軟調に推移したことが重しになった。そうした中で、ソフトバンクグループ<9984.T>をはじめ自社株買いを発表した銘柄が堅調となり、自社株買いが相場テーマになるとの見方も出ている。8日の米国株式市場は小幅高。S&P総合500種<.SPX>とナスダック総合<.IXIC>は8営業日連続で終値での最高値を更新。ダウ工業株30種<.DJI>も2営業日連続で最高値で引けた。これを受けて日本株は堅調な始まりとなったが、よりどころとなる米株は、時間外取引で先物が軟調に推移。さらに、外為市場でドル/円が112円台まで円高に進んだことも重しとなり、安値もみあいで推移した。ただ、指数寄与度が大きいソフトバンクグループが前日に自社株買い1兆円の方針を
発表したことを好感して大幅上昇したことが日経平均の下支え要因となったほか、立ち会い時間中に自社株買いを発表した大成建設<1801.T>、明治ホールディングス<2269.T>などが上値追いとなるなど「物色面では自社株買いを発表した銘柄に関心が集まり、当面の相場テーマとなりそうだ」(国内証券)という。市場では「米株高を考慮すれば堅調に推移しても不思議ではないところだが、現時点でみえてきた国内の(岸田政権の)政策は需要喚起策のみで将来の成長を感じさせない。そのあたりを気にする投資家も多いのではないか」(東海東京調査センター・シニアスト
ラテジストの中村貴司氏)との声も聞かれた。

TOPIXは0.81%安。東証1部の売買代金は2兆7458億9100万円だった。東証33業種では、繊維業、ゴム製品、海運業など30業種が下落し、値上がりは情報・通信業など3業種にとどまっている。個別では、トヨタ自動車<7203.T>など主力の輸出関連株に軟調な銘柄が目立つほか、ファーストリテイリング<9983.T>が大幅安。半面、ソフトバンクグループが商いを伴って大幅高となった。一方、東証2部市場に新規上場した日本調理機<2961.T>は、公開価格を1.47%上回る2750円で初値を付けた後は弱もちあいとなった。東証1部の騰落数は、値上がり400銘柄に対し、値下がりが1719銘柄、変わらずが64銘柄だった。1110

R3.11.10

[東京 10日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は4日続落。前日の米国株式市場が下落したほか、円高に対する警戒感から上値が重い展開が継続している。日本時間の12日朝に発表を控えているMSCI指数の定期入れ替えも、買い手控えの材料となった。9日の米国株式市場は下落し、連日の最高値更新に終止符を打った。利益確定の動きに加え、インフレ懸念が幅広い売りにつながった。その後、時間外取引で米株先物が軟調に推移し、日経平均は一時プラスになる場面があったものの、円高を懸念する空気も強いことから、総じて売りが先行する展開となった。
一方、MSCI定期入れ替えについては「5月に入れ替え時は、除外によって数千億規模の資金が流出したとの観測もある。今回の入れ替えは確定してはいないものの、少なからず相場の重しとはなっているようだ」(国内証券)との声が聞かれる。

市場では「決算発表の内容は総じてみると悪くはないが、コスト高要因で下方修正する銘柄も目立つ。物色を選別するため、決算発表が一巡するまで様子見する投資家が多いのではないか」(SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏)との指摘もあった。TOPIXは0.54%安。東証1部の売買代金は、2兆5202億7100万円と細っている。東証33業種では、ゴム製品、空運業、鉄鋼などが下落し、パルプ・紙、海運業などの値上がりが目立つ。個別では、ソフトバンクグループ<9984.T>が反落し、東京エレクトロン<8035.T>もさえない。半面、日産自動車
<7201.T>が大幅高となった。東証1部の騰落数は、値上がり873銘柄に対し、値下がりが1213銘柄、変わらずが97銘柄だった。1214

R3.11.11

[東京 11日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は5日ぶりに反発した。米株安が重しとなったが、連日の下げの反動で突っ込み警戒感から押し目買いが流入した。2万9000円を割り込まなかったことでテクニカル面から安心感を生じさせたほか、為替の円安基調が相場を支援した。中国恒大集団<3333.HK>がデフォルトを回避したとの一部報道も注目された。

日本株は安寄りする銘柄が多かったが、前日までの下落で値ごろ感が生じ、押し目買いが流入した。日経平均は徐々に上値を追う動きとなり、きょうの高値圏で午前の取引を終えた。ただ、あすにMSCIの銘柄定期入れ替えやオプションSQ(特別清算指数)算出を控え、後場には模様眺めが強まった。市場では「前日までに5日連続で陰線だったことに加え、円安と中国恒大集団に関連した報道で反発したが、さらに上値を買う材料がなく、伸び悩んだ」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長)との声が聞かれた。TOPIXは0.32%高で取引を終了。東証1部の売買代金は2兆4883億6000万円だった。東証33業種では、非鉄金属、倉庫・運輸関連業、卸売業などが上昇し、石油・石炭製品、鉱業、建設業などが値下がりした。トヨタ自動車<7203.T>など主力銘柄は総じて堅調。東京エレクトロン<8035.T>などの半導体関連株は朝方に軟調だったが、売り一巡後に切り返した。ファナック<6954.T>など工作機械株もしっかりとなった。一方、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532.T>が売られたほか、資生堂<4911.T>もさえなかった。東証1部の騰落数は、値上がり860銘柄に対し、値下がりが1233銘柄、変わらずが90銘柄だった。1177

R3.11.12

[東京 12日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続伸した。週半ばまで下げ基調となっていた反動で自律反発を期待した買いや、出遅れ感・割安感を意識した買いが先行した。円安基調や時間外取引の米株先物やアジア株がしっかりとした動きとなったことも支えとなり、日経平均・TOPIXはともに1%を超す上昇となった。

日経平均は寄り付きで続伸した後も上値を伸ばし、前営業日比383円36銭高の2万9661円22銭で高値を付けた。オーバーナイトの米国株式市場はまちまちとなったものの、東京市場では幅広い業種で買いが先行。好業績銘柄への物色も指数の下支えとなった。

TOPIXは前営業日比1.31%高の2040.60ポイント。東証1部の売買代金は2兆9426億7700万円だった。東証33業種は石油・石炭製品を除く32業種が値上がり。不動産業、鉄鋼、鉱業、建設業、情報・通信業、輸送用機器などが値上がり率上位となった。

大和証券のシニアエコノミスト、末廣徹氏は「為替の円高傾向や原油高など株式市場にとってネガティブと捉えられる材料がいったん落ち着き、決算発表の一巡でヘッドラインリスクを警戒する動きも弱まっている」と分析する。ただ、ドル/円や米長期金利の落ち着きは一時的とみられるため、来週以降も警戒が必要だという。

個別では、東京エレクトロン<8035.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、リクルートホールディングス<6098.T>、キッコーマン<2801.T>、信越化学工業<4063.T>がしっかり。半面、スズキ<7269.T>、大塚ホールディングス<4578.T>、ファーストリテイリング<9983.T>は売られた。

東証1部の騰落数は、値上がり1697銘柄(77%)に対し、値下がりが421銘柄(19%)、変わらずが64銘柄(2%)だった。1180

来週は・・・

[東京 12日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、強含みが想定されている。景気上向きを背景に強い基調を維持する米株の動きに刺激される形で、日経平均は3万円回復にトライする場面がありそうだ。一方、原油価格上昇や輸送費急騰を背景にしたコスト高、インフレなどが警戒されている。物色面では、決算好調だった銘柄が買われる半面、コスト高によって下方修正を余儀なくされた銘柄が売られるなど、当面は二極化が進行することになりそうだ。

日経平均の予想レンジは2万9300円─3万0100円。

国内の決算発表シーズンが一巡し、今後は個々の業績動向からマクロ経済に市場の関心が移ることになる。国内では15日の7─9月GDP、17日の9月機械受注、19日の10月の消費者物価、海外では15日の中国10月小売売上高と工業生産、17日の米10月小売売上高、鉱工業生産、設備稼働率、米10月住宅着工件数などが注目を集めそうだ。

とりわけ、米国では指標で好調が確認された場合、米株は上値を追うことが想定され、それが日本株を刺激することになりそうだ。また、国内に関しても「設備投資の回復の兆しが確認されれば反転のきっかけになり得る」(野村証券・ストラテジストの澤田麻希氏)という。
市場では、トヨタ自動車<7203.T>の生産面における国内正常稼働が注目されたが「一つ一つ経済正常化の動きが明らかになるにつれ、それらが株価に織り込まれていく」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏)との指摘もある。

一方、これまで欧米株に対して日本株の出遅れが強調されていた。しかし「9月以降の乱高下によって生じた、やれやれ売りが一巡したように感じられ、今後は欧米株上昇の流れに乗ることができるようになる」(三菱UFJモルガンスタンレー証券・チーフ投資ストラテジストの藤戸則弘氏)との声が聞かれ、目先的に日経平均は3万円回復にトライするとみる関係者が多い。

ただ「コスト高に苦しむ企業もあり、それらは安値圏に放置されるなど物色の二極化が進む」(岡地証券・投資情報室長の森裕恭氏)との見方もあり、全体的なかさ上げ相場にならず、半導体関連など成長期待が大きい銘柄がリードする展開になりそうだ。

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