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今週の株式投資 R4.3.21-25 彼岸底には程遠い?

東京ロイター

[東京 22日 ロイター] –
今週の東京株式市場は、戻りを試す展開となる見通しだ。年度末を意識した配当権利取りやドレッシング買いが入るとみられている。ただ、地政学リスクや資源高など懸念要因が払拭されたわけではない。中国リスクもくすぶる中、神経質でボラティリティーが高い展開が続く可能性は大きい。

日経平均の予想レンジは2万6500円─2万7500円

日経平均は18日までに5連騰。週間では1664円65銭(6.61%)上昇し、ウクライナ情勢が緊迫化する前の2万7000円台目前まで回復した。地政学リスクへの警戒感は残るものの、15─16日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過し不透明感がいったん後退している。

ウクライナ情勢は引き続き予断を許さず、原油価格の先行くについても不透明感が残るが「ロシア軍がウクライナの原発を攻撃し相場がパニックに陥っていた時期と比較すると落ち着いた。最悪期は脱したとの見方が広がっている」(国内証券)という。

一方、今週は年度末の接近が意識される見通しだ。配当権利狙い(配当権利付き最終日は29日)や期末を意識した機関投資家のドレッシング買いが流入しやすいとの期待感がある。また、国内では21日の期限で現在18都道府県に適用中のまん延防止等重点措置が、約2カ月半ぶりに全面解除される。

市場では「需給はタイトで、買い優勢となりやすい。経済再開ムードが高まる中、桜前線と共に株高前線が期待できる」(みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジスト)との明るい声も出ている。

R4.3.21 春分の日

R4.3.22

[東京 22日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比396円68銭高の2万7224円11銭と、6日続伸した。米国市場が前週末、週明けと株高になる中、連休明けの東京市場も好地合いを引き継いだ。日経平均は心理的節目の2万7000円を回復し、買い戻しが強まった。

日経平均は、3月1日以来となる2万7000円を寄付きから回復した。引き続きウクライナ情勢や原油価格の急騰、米金融引き締めなどへの警戒感はくするぶるが「市場には耐性が備わりつつあるのではないか」(国内証券)との見方が聞かれた。心理的節目をしっかり上回ったことで「売り方の買い戻しが加わった」(別の国内証券)との声もあった。

為替のドル/円が円安基調を続け、約6年ぶりに120円台に上昇。自動車や機械といった輸出関連株がしっかりだったほか、米金利上昇が銀行や保険を、原油高が鉱業や石油・石炭製品を、それぞれ支援した。割安感のある銘柄が幅広く物色された上、期末を控えて株を買い増す動きも継続し、主力銘柄を中心に堅調に推移した。市場では「2万7000円をしっかり回復し、戻り継続の気配を強めている」(岩井コスモ証券の林卓郎投資情報センター長)との見方が出ていた。

しかし後場には伸び悩み、上げ幅を削った。日経平均は前営業日までの5営業日の上昇幅が1600円超と大きかったこともあり、利益確定や戻り待ちの売りが上値を抑えた。
TOPIXは1.28%高の1933.74ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は3兆4261億7800万円だった。東証33業種では、値上がりは鉱業や保険業、卸売業など28業種で、値下がりは海運業や空運業、食料品など5業種だった。個別では、東京エレクトロン<8035.T>などの半導体関連株が概ねしっかりだったほか、三菱商事<8058.T>や三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>やINPEX<1605.T>が昨年来高値を更新。トヨタ自動車<7203.T>やソニーグループ<6758.T>といった主力銘柄も概ね堅調だった。半面、日本郵船<9101.T>やANAホールディングス<9202.T>、エイチ・アイ・エス<9603.T>はさえなかった。東証1部の騰落数は、値上がりが1144銘柄(52%)、値下がりは954銘柄(43%)、変わらずは83銘柄(3%)だった。14044

R4.3.23

[東京 23日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比816円05銭高の2万8040円16銭と大幅に上昇し、7日続伸で取引を終えた。前日の米国市場でのハイテク株高を好感し、高く始まった後も幅広い銘柄が物色され上値を伸ばした。チャート上の節目を上抜けたことで上昇に弾みがつき、1月18日以来、約2カ月ぶりに2万8000円の大台を回復した。日経平均は、ハイテク比率の高い米ナスダック総合大幅高の好地合いを引き継ぐ形で上伸してスタートし、その後も次第に上値を切り上げた。

為替の円安のほか、来週の29日に年度内受け渡し最終日を控え、配当権利取りの動きが活発化して株高を支援。チャート上の大きな節目とされた2月10日の戻り高値2万7880円70銭を上回ったことで上昇に弾みがついた。「年初からの下落トレンドが転換した」(国内証券)との見方が出ている。
半導体関連や電子部品などのハイテク株のほか、自動車や機械といった輸出関連がしっかり。幅広く物色された。ソフトバンクグループ<9984.T>などこれまで下降トレンドが意識された銘柄群がリバウンド色を強め、基調の転換を印象づけた。日経平均は後場も一段高で始まり、一時832円09銭高の2万8056円20銭に上昇する場面があった。市場では「米連邦公開市場委員会(FOMC)の通過後は、アク抜け感からグローバル投資家のアクションが変わってきた。一方、戻りのピッチは少し早
い。目先は戻り待ちの売りが重しになりやすい」(SMBC日興証券の太田千尋投資情報部部長)との見方が出ていた。TOPIXは2.33%高の1978.70ポイントで取引を終了。東証1部の売買
代金は3兆4288億3200万円だった。東証33業種では32業種が値上がりした。値上がり率上位には精密機器や電気機器、輸送用機器などがならんだ。値下がりは海運業の1業種だった。
  
東京エレクトロン<8035.T>など半導体関連のほか、トヨタ自動車<7203.T>やソニーグループ<6758.T>といった主力銘柄がしっかりだった。NTT<9432.T>が連日の年初来高値更新。三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306.T>など銀行株も買われた。日本郵船<9 101.T>などの海運株は軟調だった。東証1部の騰落数は、値上がりが1940銘柄(88%)、値下がりは206銘柄(9%)、変わらずは35銘柄(1%)だった。14310

R4.3.24

[東京 24日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は8日続伸した。朝方は利益確定売りが先行する展開となったものの、後半はこうした売りを吸収し、急速に戻して高値引けとなった。23日の米国株式市場は主要株価3指数がいずれも1%超下落して取引を終了。西側諸国の首脳がブリュッセルに集まり、ウクライナ侵攻を巡るロシアへの追加制裁が見込まれる中で原油価格が急騰したことを嫌気した。他方、ロシアのプーチン大統領は23日、国内経済に大きな打撃を与えている西側の制裁に対抗し、「非友好国」に天然ガスの支払いをルーブル建てで行うよう要求した。

原油価格の急騰は、好地合いを継続していた日本株に悪影響を及ぼし、きょうは朝方から売り優勢の展開。きのうまで、押しらしい押しを入れず、高値警戒感も生じていたことも下げを加速させる要因となった。しかし、原油が反落に転じると、再び買い戻す動きが活発化し、終盤は上値を追う動きとなり、結局、日経平均は高値引けとなった。市場では「不透明感は残っているものの、期末が意識されていることで、ヘッジ売りをした向きの買い戻しや、配当狙いの買いが入ることで、株価が崩れる雰囲気は感じられない」(SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏)との声が聞かれる。

TOPIXは0.14%高。東証1部の売買代金は3兆1574億7900万円だった。東証33業種では、非鉄金属、鉱業、輸送用機器などが上昇し、海運業、建設業、不動産業などの下落が目立つ。個別では、東京エレクトロン<8035.T>が買い進まれたほか、任天堂<7974.T>も堅調。ソフトバンクグループ<9984.T>も堅調に推移したが、日本郵船<9101.T>、富士通<6702.T>などがさえない。東証1部の騰落数は、値上がり1097銘柄に対し、値下がりが977銘柄、変わらずが107銘柄だった。14410

R4.3.25

[東京 25日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は小幅高で取引を終えた。2019年9月以来の9日続伸となった。前日までの大幅上昇に対する高値警戒感に加え週末とあって見送り気分が強い中、好地合いを維持した。

24日の米国株式市場は、主要株価3指数が1%超反発した。これまで売られていた半導体株や大型グロース株に買い戻しが入った。中でもエヌビディアが9.8%上昇し、1月半ば以来の高値を記録。半導体セクターの上げを主導した。インテルも6.9%値上がりし、エヌビディアとともにS&P総合500種<.SPX>とナスダック総合<.IXIC>を押し上げた。

これを受けて日本株も堅調な地合いを維持したが、年度末接近の週末であるほか、前日までの8日連騰によって高値警戒感が台頭。全体的に模様眺めムードが強く、前日終値を挟んでプラス、マイナスを往来する動きとなった。そうした中で、前日の米株市場においてフィラデルフィア半導体指数<.SOX>が5.1%を超す大幅上昇だったことを受け、半導体関連株が底堅い展開となった。

テクニカル面では、日経平均は200日移動平均線を前に足踏み状態。市場では「200日線が上値の目安として意識される一方、前日までの上昇で過熱感も生じており、模様眺めムードとなったようだ」(野村証券・投資情報部ストラテジストの神谷和男氏)という。

TOPIXは0.09ポイント安で、ほぼ変わらず。東証1部の売買代金は、3兆0581億2700万円。東証33業種では、海運業、水産・農林業、医薬品などが上昇した半面、保険業、パルプ・紙、情報・通信業などが下落した。個別では、ファナック<695 4.T>、任天堂<7974.T>などが堅調だが、ソフトバンクグループ<9984.T>がさえない。東証1部の騰落数は、値上がり1007銘柄に対し、値下がりが1068銘柄、変わらずが106銘柄だった。1428

来週は・・・

[東京 25日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、上値の重い展開が予想されている。3月半ばから急ピッチで上昇してきたが、一段の上値を試すような材料を欠いている。週前半は需給要因による下支えが見込まれるものの、原油価格や米金利が高止まりする中、企業業績や経済への悪影響を巡る警戒感が次第に相場の重しになりそうだ。

日経平均の予想レンジは2万7500─2万8500円。

国内では年度末を控えており、市場では「少なくとも週前半は底堅さが意識されそうだ」(国内証券)との声が聞かれる。日本株は需給面の下支えが期待されている。29日が配当権利付き最終日で、配当権利狙いや機関投資家のドレッシング買い、配当再投資への思惑などが出ている。

ただ、買い戻しが一巡した後は上値が重くなりやすいとみられている。足元の日経平均は、ロシアによるウクライナ侵攻開始時を上回る水準まで買い戻された一方、「外部環境に大きな変化はみられていない。先行きの企業業績への懸念はくすぶっており、積極的に上値を追う感じではない」(国内運用会社)との声は多い。供給制約の継続のほか、原油価格はむしろ高止まりとなっている。

インフレ高進による企業業績や経済への悪影響が引き続き警戒されており、31日発表の2月PCEコアデフレーターには注意が必要だ。週末4月1日に発表される3月米雇用統計への関心も高い。賃金上昇がみられればインフレ警戒感が強まりかねない半面、労働参加率が高まるようならインフレ沈静化に向けた期待につながるとみられている。

企業業績の先行きへの懐疑的な見方がくすぶる中、「日銀短観と2月決算企業の見通しが、3月決算企業の来期を占うヒントになりそうだ」と、三木証券の北澤淳商品部投資情報グループ次長は指摘する。

昨年の12月短観では、全規模・全産業の事業計画の前提となっている想定為替レートは、円安推移を反映して円安方向にシフト。2021年度のドル/円は109.09円(前の回は107.64円)、ユーロ/円は127.71円(同126.50円)。足元でドル/円は120円を超えてきており、輸出企業などで今期の為替差益が期待できる。

一方、供給制約や資源高によるコスト増が22年度にかけて見込まれる。期初時点の予想は控えめな数字になる傾向があることを踏まえ「多少の減益程度の見通しなら、株式市場では好感されるのではないか」と北澤氏はみている。短観は1日に発表される。

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