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今週の株式投資 R4.1.10-14 オミクロンの脅威?それともテーパリング、利上げの脅威?

東京ロイター

R4.1.10

[東京 11日 ロイター] – 今週の東京株式市場は、一進一退の値動きとなる見通し。米国の金融引き締めや新型コロナウイルスのオミクロン変異株への警戒感は強いものの、安川電機<6506.T>や小売り企業の決算が好調であれば、株価を下支えるとみられている。物色面では、米長期金利の上昇に伴い、引き続きバリュー株優位の展開となりそうだ。

日経平均の予想レンジは2万8000円─2万9200円。

米労働省が7日に発表した21年12月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比19万9000人増と、市場予想の40万人増を下回った。ただ、失業率は22カ月ぶりの低水準となる3.9%と、前月の4.2%から改善したほか、時間当たり平均賃金が前月比0.6%上昇と、11月の0.4%上昇から伸びが加速した。[nL4N2TN2RT]

市場では米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の早期正常化が警戒されており、グロース株優位相場に変化がみられる。

みずほ証券の中村克彦シニアテクニカルアナリストは「日経平均をみると日本株は弱い印象があるが、TOPIXは持ちこたえており、今まで出遅れていた自動車部品銘柄、金融株などのバリュー株の一角はしっかりとした動きとなっている」との見方を示す。

7日の東京株式市場で、日経平均は続落。前日に844円安と急落したため、自律反発が期待されていたが、再び売り優勢となった。日経平均をTOPIXで割ったNT倍率<.ntidx>も14.27倍と新年入りしてから低下傾向にあり、値がさハイテク株の構成比率が高い日経平均にとって厳しい局面となっている。

今週は安川電機<6506.T>のほか、イオン<8267.T>、セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>、サイゼリヤ<7581.T>、ファーストリテイリング<9983.T>などの企業決算が相次ぐ。国内の新型コロナウイルスの新規感染者数が急拡大する中、経済活動が再び制限される可能性が高まっており、経営者のコメントや業績見通しに注目が集まる。

市場では「製造業の動向を占う試金石として位置づけられている安川電機の決算が注目されている。堅調な決算が確認されれば、日本株は一時的に底上げする動きもみられるだろう」(国内証券)との声が出ていた。

このほか海外では、米国で12月の消費者物価指数、小売売上高、鉱工業生産、中国で12月貿易収支などの経済指標が発表される。

R4.1.11

[東京 11日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は3日続落した。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め早期化への思惑から米長期金利が上昇したことを受けて、ハイテク株など株価収益率(PER)の高いグロース(成長)株を中心に売りが優勢となった。

 日経平均は続落でスタートした後も、下げ幅を拡大。一時389円07銭安の2万8089円49銭の安値を付けた。その後も戻りは鈍く、大引けにかけて上値の重い展開が続いた。ハイテク株が中心に売られ、東京エレクトロン<8035.T>などの半導体関連が総じて軟調だったほか、TDK<6762.T>などの電子部品もマイナスの銘柄が目立った。ファーストリテイリング<9983.T>やソフトバンクグループ<9984.T>もさえず、指数の重しになった。キーエンス<6861.T>は連日の大幅安だった。市場では「米国長期金利の上昇を受けて高PER株から低PER株へと資金がシフトする流れが継続した」(三木証券の北澤淳商品部投資情報グループ次長)との声が聞かれた。
 金利上昇の業績貢献期待や割安感から銀行株や保険株は物色され、トヨタ自動車<7203.T>やホンダ<7267.T>もしっかり。足元では新型コロナウイルスの感染再拡大が警戒されているが、外食や百貨店、旅行関連、空運や鉄道といったリオープン(経済再開)銘柄の一角も堅調だった。「(感染拡大の)収束後をにらんだ思惑買いが入った」(国内証券)とみられている。TOPIXは0.44%安で取引を終了。東証1部の売買代金は3兆0073億2000万円だった。東証33業種では、電気機器、化学工業、金属製品、精密機器など18業種が値下がりした一方、保険業、銀行業、証券業など15業種は値上がりした。東証1部の騰落数は、値上がり960銘柄(43%)に対し、値下がりが1157銘柄(52%)、変わらずが68銘柄(3%)だった。1132

R4.1.12

[東京 12日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は4営業日ぶりに大幅反発した。前日の米国市場でのハイテク株高の流れを受けて、半導体関連など高PER(株価収益率)のグロース(成長)株を中心に買い戻す動きが優勢となった。香港ハンセン指数などアジア株の上昇も支えとなり、日経平均は上値追いの展開となった。

朝方の東京株式市場で日経平均は、前日の米ナスダック総合<.IXIC>が堅調だった流れを引き継いで、反発してスタートした。このところ軟調だった半導体関連をはじめとする高PER銘柄を中心に買い戻しが先行した。
アジア株や米株価主要3指数の先物が堅調な中で、日経平均も高値を追う展開となった。後場には上昇の勢いが一服する局面もあったが、大引けにかけて再び強含んだ。東京エレクトロン<8035.T>など半導体関連やTDK<6762.T>などの電子部品といったハイテク株は総じて大幅高。アジア株が堅調な中、ソフトバンクグループ<9984.T>も大幅
高となった。ファーストリテイリング<9983.T>が13日ぶりに反発したほか、トヨタ自動車<7203.T>やソニーグループ<6758.T>など主力株もしっかりだった。前日に決算を発表した安川電機<6506.T>は2%超高だった。一方、エーザイ<4523.T>やデンソー<6902.T>はさえなかった。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め早期化への思惑は引き続きくすぶっており、高PER株の重しになりやすい。市場では「きょうの上昇はレンジ内の動きにとどまっており、もう一段高となるにはエネルギーが必要」(証券ジャパンの大谷正之調査情報部部長)との声もあった。近く本格化する米企業決算で「コストアップ要因を吸収し、業績の堅調さが示されれば、日本株が支援されそうだ」(大谷氏)とみられている。

TOPIXは1.64%高と反発して取引を終了。東証1部の売買代金は3兆0151億1900万円だった。東証33業種では、31業種が値上がりした。値上がり率上位には、鉱業や海運業、金属製品、機械、不動産業などが並んだ。値下がりしたのは電気・ガス業と保険業のみだった。東証1部の騰落数は、値上がりが1924銘柄(88%)、値下がりが219銘柄(10%)、変わらずが42銘柄(1%)だった。1153

R4.1.13

[東京 13日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は反落した。前日に543円高と大幅に上昇した反動で、利益確定売りが優勢となった。国内での新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感も重しとなり、反落スタート後も下げ幅を拡大した。

TOPIXも反落し前営業日比0.68%安の2005.58ポイント。東証1部の売買代金は2兆7679億8200万円だった。東証33業種では、精密機器、小売業、サービス業、陸運業、その他製品などの21業種が値下がり。鉄鋼、非鉄金属、パルプ・紙などの12業種が値上がりした。12日の米国株式市場は主要3株価指数が小幅ながら続伸したが、東京市場では前日の大幅高の反動から利益確定売りが先行し、日経平均・TOPIXともにプラス圏に転換することはなかった。

国内では東京都のコロナ感染者が3100人を超える見通しとなることなど、感染急拡大を示すニュースが相次ぎ、百貨店、旅行などのリオープン(経済再開)銘柄が総じて軟調だった。一方、鉄鋼や非鉄金属といった景気敏感株の一角はしっかり。グロース株売りが先行する中、バリュエーションの低い銘柄を買う動きが継続したという。みずほ証券の三浦豊氏は「米連邦準備制度理事会(FRB)が早期の金融引き締めに動く可能性がある中、米国株はやや楽観ムード。経済指標と株価はタイムラグが生じることが多いため、今夜の米市場の動向を見極める必要がある」との見方を示した。

個別では、ファーストリテイリング<9983.T>が昨年来安値を更新したほか、リクルートホールディングス<6098.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、ファナック<6954.T>などもさえなかった。半面、トヨタ自動車<7203.T>は上場来高値を更新。アドバンテスト<6857.T>、東京エレクトロン<8035.T>なども買われた。東証1部の騰落数は、値上がりが502銘柄(22%)、値下がりが1605銘柄(73%)、変わらずが78銘柄(3%)だった。1150

R4.1.14

[東京 14日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は続落した。米連邦準備理事会(FRB)の金融政策正常化の加速や国内での新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感、ドル安/円高傾向が重しとなり、日経平均は心理的節目である2万8000円を一時下回った。後場は日銀による上場投資信託(ETF)買いへの思惑が支えになり、日系平均・TOPIXともに下げ渋った。

ブレイナード理事は13日、3月に想定される量的緩和の縮小(テーパリング)が終了次第、利上げを開始できる態勢にあるとの認識を示した。これを受け米国株式市場ではグロース株売りが加速し、ナスダック総合<.IXIC>は2%超安となった。

日経平均は米株安を嫌気し続落スタート。一時2万8000円を下回り、前営業日比599円92銭安の2万7889円21銭で安値を付けた。前場のTOPIXが2.02%安で取引を終えたことから、後場には日銀がETFを買い入れるとの思惑が浮上し、下げ幅を徐々に縮小する展開となった。松井証券の窪田朋一郎投資メディア部長は、ハト派と思われていたブレイナード理事が一転してタカ派になったとして「市場は利上げ観測を織り込み切れていない状態」だと指摘する。円高も重しとなり、グロース株売りにとどまらない幅広い業種で売りが加速したという。

個別では、ファナック<6954.T>、リクルートホールディングス<6098.T>、ダイキン工業<6367.T>、テルモ<4543.T>などが軟調。米国市場でグロース(成長)株が売られた流れを引き継いだほか、日銀の金融政策正常化への警戒感からドルが113円台後半まで下落したことで自動車株などのバリュー株も上値が重かった。国内での新型コロナ感染再拡大が警戒される中、レジャー・旅行などのリオープン(経済再開)関連もさえなかった。一方、前日に決算を発表したファーストリテイリング<9983.T>は大幅に反発し8%超高。セブン&アイ・ホールディングス<3382.T>も4%超高と買われた。TOPIXは1.39%安の1977.66ポイント。東証1部の売買代金は3兆4410億3400万円だった。東証33業種では、海運業、水産・農林業、小売業を除く30業種が下落。値下がり率上位には、サービス業、不動産業、機械、電気機器、その他製品などが並んだ。東証1部の騰落数は、値上がりが503銘柄(23%)、値下がりが1599銘柄(73%)、変わらずが83銘柄(3%)だった。1144

来週は・・・

[東京 14日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、底堅い展開が想定されている。米国では連邦公開市場委員会(FOMC)を翌週に控えて金融政策面の材料が乏しくなる一方、企業決算シーズンに入ることから、堅調な業績が確認されれば日本株にもプラスとの期待感がある。国内では新型コロナウイルスの感染が急拡大しており、政府の対応に関心が寄せられる。

日経平均の予想レンジは2万7800円―2万8600円

市場の最大の関心事は米金融政策の行方だが、1月のFOMCを控えてメンバーが金融政策についての発言を禁じられるブラックアウト期間に入り「金融引き締めが警戒されるような材料は出にくくなる」(三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)とみられている。
米企業の決算シーズンが始まっており、インフレや供給制約が意識される中でも業績堅調となれば、日本株にも支援材料になると期待する声が出ている。

一方、東京市場では、外食や百貨店、旅行、空運、鉄道などリオープン(経済再開)銘柄の上値が重い展開が続いている。新型コロナの感染が急拡大する中、濃厚接触者として行動制限のかかる人が増えれば、工場などの生産現場にも悪影響が広がり経済正常化が遅れかねないと警戒する声も出ている。
新型コロナの主流となりつつあるオミクロン株は、デルタ株に比べて感染力が強いとされ新規感染者数の増加ペースは早いが重症化率は低いとの見方もあり、経済界からは濃厚接触者の隔離期間短縮や水際対策の見直しなどを求める声が挙がっている。
厚生労働省に助言する専門家組織の会合で濃厚接触者の待機期間を短縮する案が出ていると報じられているが、市場では「待機期間の短縮だけでなく海外からの入国緩和など、オミクロン株はデルタ株ほどの脅威ではないとのメッセージを、国民の理解を得られる形で政策として示すかがポイント」(ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジスト)との指摘が出ている。

国内では、17―18日に日銀の金融政策決定会合が開かれる。展望レポートの公表も予定され、物価見通しに関心が寄せられる。中国では17日に10―12月実質国内総生産(GDP)のほか、12月の小売売上高や鉱工業生産などの発表が予定されている。

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