今日の一言:人間万事塞翁が馬

今週の株式投資 彼岸底、ロシアのデフォルトに備えて

東京ロイター

[東京 7日 ロイター] – 今週の東京株式市場は神経質な展開が予想される。ウクライナ危機は和らぐ兆しが見えず、米金融引き締め加速への警戒感も依然くすぶる。一方、テクニカル面では「売られ過ぎ」が意識されており、ウクライナとロシアの停戦交渉に具体的な進展がみられれば、株価が急反発する局面もあり得る。

日経平均の予想レンジは2万5200─2万6800円。

前週末4日の東京株式市場で日経平均株価は大幅反落し、昨年来安値(2万5775円64銭=2月24日)を更新。同日の米国株式市場も軟調な値動きとなった。ロシア軍の攻撃によってウクライナの原発で火災が発生したと伝わり、リスク回避の売りが強まった。

ロシアのプーチン大統領は6日、ウクライナが抵抗をやめてロシア側の要求を満たした場合のみ、軍事作戦を停止すると述べるなど強硬姿勢を維持しており、事態収拾への道筋は見えていない。[nL6N2V900M]

原油先物相場ではWTI<CLc1>が節目の1バレル=100ドルを上回り、一時116.57ドルまで急騰。市場ではウクライナ危機の長期化とともに原油価格は高止まりするとの見方が優勢で、「停戦へ向けた議論が行われない限り相場への悪影響が長引き、株価は下値模索を続けるだろう」(野村証券の神谷和男ストラテジスト)との声が聞かれる。ウクライナ情勢の関連報道に上下される相場は今週も続くとみられている。

一方、テクニカル面では、4日の終値(2万5985円47銭)と25日移動平均線(2万8408円16銭)の下方乖離(かいり)率は8%超と「売られ過ぎ」を示す5%を超えている。今後、ウクライナ情勢の緊張緩和に向けた動きがあると急速に買い戻しの流れに転じる可能性があるほか、「停戦合意の望みがまだ残っている以上、株価はこれより下へは行かないのではないか」(国内証券)との声も出ている。

今週は欧州中央銀行(ECB)定例理事会のほか、2月の米国消費者物価指数(CPI)などが公表予定。国内ではメジャーSQ(特別清算指数)算出を控えており、相場のかく乱要因になりかねないと警戒されている。

SMBC信託銀行の山口真弘投資調査部長は、CPIはインフレ高進を裏付ける見通しだとみている。ただ、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は2日の議会証言で政策の不確実性を高めたくないと述べており「利上げは市場の織り込みに沿った形で行われるとの見方が市場では広がっている」(山口氏)という。市場予想を上回る結果となっても、株価は過度な反応はしないと見込んでいる。

R4.3.7

[東京 7日 ロイター] – 7日の東京株式市場で、日経平均が昨年来安値(2万5774円28銭=4日)を更新した。足元の株価は前営業日比500超安の2万5400円台後半と、取引時間中として、2020年11月13日以来の安値水準を推移している。原油先物市場の急騰が嫌気された。

[東京 7日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比764円06銭安の2万5221円41銭と大幅に続落して取引を終えた。2020年11月以来の安値。寄り付きで昨年来安値(2万5774円28銭)を更新した後も下げ幅を1000円近くに拡大し、心理的節目の2万5000円に接近する場面もあった。原油価格の急騰を受け、世界経済の減速が警戒された。

日経平均は350円超安で寄り付いた後も下げ止まらず、一時979円21銭安の2万5006円26銭まで下落した。原油先物市場でWTI<CLc1>が一時1バレル=130.50ドルと08年7月以来約13年半ぶりの水準まで上昇し、世界経済への重しになるリスクが意識された。ウクライナに地理的に近い欧州のユーロが一時1.0822ドルと20年5月以来の水準に低下したことも警戒された。

日本株は幅広い銘柄で売りが出た。米株先物がマイナスで推移したほかアジア株が総じて下落し、投資家心理が冷やされた。ただ、後場には下げ渋る動きとなった。前場のTOPIXが日銀によるETF(上場投資信託)買いの基準と目されている2%を上回って下落し、午後には買い入れへの思惑も出た。

市場では、原油価格の一段高への警戒感は根強い。「原油高や工業金属高で企業の1株あたり利益(EPS)がどのぐらい下がるのかまだ市場の目線が定まっておらず、ひとまずヘッジとしての売りが先行したようだ」(水戸証券の酒井一チーフファンドマネージャー)との見方が出ていた。

TOPIXは2.76%安の1794.03ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は3兆7199億5700万円だった。東証33業種では、値上がりは鉱業や石油・石炭製品、海運業など5業種で、値下がりは空運業や輸送用機器、繊維業など28業種だった。

個別では、日野自動車<7205.T>がエンジン性能を偽る不正行為があったと4日に発表したことが嫌気されストップ安となった。ソニーグループ<6758.T>とホンダ<7267.T>は電気自動車(EV)分野での提携を4日に発表したが軟調となった。提携自体はポジティブとの受け止めが優勢だったが、弱い地合いに押された。トヨタ自動車<7203.T>が6%超の大幅安となったほか、東京エレクトロン<8035.T>、ソフトバンクグループ<9984.T>、ファナック<6954.T>などの値がさ株が大幅安。一方、INPEX<1605.T>や住友金属鉱山<5713.T>、出光興産<5019.T>は堅調だった。東証1部の騰落数は、値上がりが225銘柄(10%)、値下がりは1920銘柄(88%)、変わらずは35銘柄(1%)だった。1192

R4.3.8

[東京 8日 ロイター] – 東京株式市場で、日経平均は前営業日比430円46銭安の2万4790円95銭と、3日続落で取引を終えた。ウクライナ情勢の不透明感や原油価格の高止まりによる経済への悪影響が警戒され、相場の重しになった。心理的節目の2万5000円を寄付きから下回り、午後には400円超安に下げを拡大して約1年4カ月ぶりの安値を付けた。朝方の日経平均は、心理的節目の2万5000円を割り込んで寄り付いた後も下げ幅を拡大した。2万5000円を下回るのは2020年11月以来で、連日の昨年来安値更新となった。その後、前日までの大幅安を受けて自律反発狙いの買いが優勢となり、一時プラスに転じる場面があったが勢いは続かず、短時間で再びマイナスに押し戻された。WTI原油先物は、前日につけた1バレルあたり130ドル付近からは低下し、このところの上昇基調に一服感が出たとの受け止めが広がった。ただ、120ドル付近では底堅く推移しており「再上昇のリスクは拭えない」(国内証券)との警戒感も聞かれた。午後には米株先物が小安かったことも、投資家心理の重しとなった。市場では「対ロシアの経済制裁によるインフレや世界経済への影響が警戒される中、ウクライナ情勢の解決の糸口は見えず上値は重い」(三木証券の北澤淳商品部投資情報グループ次長)との声が出ていた。一方、日経平均の予想PER(株価収益率)は前日時点で12.19倍に低下しており「材料次第では一段安もあり得るが、底入れが意識されてもいい水準」(北澤氏)との見方も聞かれた。

TOPIXは1.90%安の1759.86ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は4兆0768億0800万円と膨らんだ。東証33業種では、全業種が値下がり。値下がり率上位には石油・石炭製品や鉄鋼、海運業、鉱業、非鉄金属などが並んだ。個別では、原油や非鉄金属の価格上昇に一服感が出て、資源高を背景に買われてきたINPEX<1605.T>や出光興産<5019.T>、住友金属鉱山<5713.T>といった銘柄群が軟調となった。原油高止まりによるコスト増が意識され、川崎汽船<9107.T>や日本航空<9201.T>もさえなかった。一方、前日に大幅安だったダイキン工業<6367.T>、ファナック6954.T>、信越化学工業<4063.T>などはプラスだった。東証1部の騰落数は、値上がりが346銘柄(15%)、値下がりは1788銘柄(82%)、変わらずは46銘柄(2%)だった。1186

R4.3.9

[東京 9日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は前営業日比73円42銭安の2万4717円53銭と、4日続落して取引を終えた。自律反発狙いの買いが先行し高く始まったが、アジア株の急落につれ安し大引け間際にマイナス圏に転落した。ウクライナ情勢に改善の兆しが見えない中、原油価格が高止まりしていることもあり、東京株式市場は引き続き不安定な地合いだった。

日経平均は前日までの3営業日で1786円下落したため朝方は自律反発を期待した買いが先行、85円高で寄り付いた後、一時293円13銭高の2万5084円08銭まで上昇した。ただ、その後は徐々に下げ幅を縮小し、大引け間際に失速した。市場では「中国株の下げに引きずられてしまった。株安の主因となったPPI低下も、ウクライナ情勢の緊迫化によるもの。事態が長期化する中、世界中の株式市場や経済に影響を与え始めている」(国内証券)との声が聞かれた。

上海総合指数、香港ハンセン指数は一時3%超の下落となった。中国国家統計局が9日発表した2月の生産者物価指数(PPI)の低下[nL3N2VC0U1]、中国スポーツウエアメーカー大手の李寧(リーニン)の株価急落などが嫌気された。TOPIXも4日続落し0.06%安の1758.89ポイント。東証1部の売買代金は3兆2731億3000万円だった。東証33業種では、電気・ガス業、海運業、精
密機器、医薬品などの21業種が値下がり。ゴム製品、空運業、銀行業などの12業種は値上がりした。

個別では、リクルートホールディングス<6098.T>、キッコーマン<2801.T>、ファーストリテイリング<9983.T>、TDK<6762.T>が軟調。ソフトバンクグループ<9984.T>、ダイキン工業<6367.T>、アドバンテスト<6857.T>、トヨタ自動車<7203.T>がしっかりだった。そのほか、東京電力ホールディングス<9501.T>、北海道電力<9509.T>などの電力株が売られたほか、ENEOSホールディングス<5020.T>、出光興産<5019.T>など石油関連株も利益確定売りに押された。東証1部の騰落数は、値上がりが886銘柄(40%)、値下がりは1209銘柄(55%)、変わらずは85銘柄(3%)だった。1191

R4.3.10

[東京 10日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は、前営業日比972円87銭高の2万5690円40銭と大幅に反発して取引を終えた。5営業日ぶりの反発となる。原油価格の高騰が一服したことで、資源高が世界の景気を冷やすことへの過度な警戒感が和らぎ、幅広い銘柄が買い戻された。米国市場での大幅株高や、ウクライナ情勢の好転への期待も支えになった。上昇幅は昨年来で最大となった。日経平均は前日までの4営業日で1800円超下落しており、このところ売られていた銘柄を中心に自律反発を期待した買いが活発化した。東証33業種のすべてが上昇したほか、東証1部の騰落率では値上がり銘柄が全体の98%を占める全面高の商状となった。上昇幅は、一時1000円を超える場面もあった。石油輸出国機構(OPEC)主要国のアラブ首長国連邦(UAE)の駐米大使がツイッターで増産に前向きな姿勢をコメントし、米WTI原油先物が急落したほか、非鉄金属などほかの商品価格も上昇が一服した。

日経平均は寄り付きから心理的節目の2万5000円を回復。その後も、次第に上値を伸ばし、後場には一時、前営業日比1002円78銭高の2万5720円31銭に上昇した。これまで大きく売られた銘柄を中心に、断続的に買い戻された。もっとも、市場では、ウクライナを巡る緊張状態は継続しているとして「目先は戻りを試すとしても、これまでの株安要因が解消されたわけではなく、しばらくボラタイルな状況が続きそうだ」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役)との声が聞かれた。

UAEのエネルギー相は、駐米大使が原油増産に前向きな姿勢を示した後、同国としてはOPECと非加盟産油国でつくる「OPECプラス」の合意とその月間生産調整メカニズムを守ると表明し、軌道修正した。WTI原油先物は7日につけた1バレルあたり130ドルよりは低下しているが、110ドル付近で高止まりしている。TOPIXは4.04%高の1830.03ポイントで取引を終了。東証1部の売買代金は3兆3885億1000万円だった。東証33業種では、全業種が値上がり。値上がり率上位には、海運業や空運業、その他金融業などが並んだ。

個別では、東京エレクトロン<8035.T>や信越化学工業<4063.T>といった半導体関連株の上昇が日経平均の押し上げに寄与した。トヨタ自動車<7203.T>やソニーグループ<6758. T>といった主力株も堅調、リクルートホールディングス<6098.T>やANAホールディングス<9202.T>も買われた。INPEX<1605.T>など石油関連や住友金属鉱山<5713.T>など非鉄金属の一角は朝方に売られたが徐々に持ち直した。コスモエネルギーホールディングス<5021.T>は、筆頭株主の売り出し発表が嫌気され大幅安で推移した。東証1部の騰落数は、値上がりが2140銘柄(98%)、値下がりは30銘柄(1%)、変わらずは10銘柄だった。1244

R4.3.11

[東京 11日 ロイター] – 東京株式市場で日経平均は前営業日比527円62銭安の2万5162円78銭と、大幅に反落した。ウクライナ情勢や欧米でのインフレ高進など、市場を取り巻く環境に大きな変化が見られない中、週末の動きを警戒した手仕舞い売りが優勢となった。前日の大幅高の反動のほか、アジア株の急落も重しとなり、日経平均は一時700円超安まで下落した。10日の米国株は再び下げに転じた。ウクライナとロシアの停戦に向けた進展がみられない中、欧米ではインフレ加速懸念がくすぶっている。日経平均は米株安の流れを引き継いだ上、前日に972円高と急反発した反動もあり195円安と反落してスタート。後場には香港ハンセン指数<.HSI>、上海総合指数<.SSECなどのアジア株の急落を受け、723円90銭安の2万4966円50銭で安値を付ける場面があった。前日に大幅高となった景気敏感株や半導体関連などのハイテク、グロース(成長)株などを中心に利益確定売りの動きが広がった。市場では「世界情勢を巡っては予想外、常識外れの出来事が起きており、ポジションを一方に傾けづらい。投資家はあらゆる事態を視野に入れながらポジションを形成しないといけない」(SBI証券の鈴木英之投資調査部長)との声が聞かれた。

TOPIXは1.67%安の1799.54ポイント。東証1部の売買代金は3兆3145億9800万円だった。東証33業種では、輸送用機器、精密機器、電気機器、化学工業などの23業種が値下がり。鉱業、石油・石炭製品、鉄鋼などの10業種は値上がりした。個別では、ソフトバンクグループ<9984.T>が大幅反落し6%超安。出資先のアリババ株の急落や、中国配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)が香港取引所への上場準備を中断したとの報道が嫌気された。トヨタ自動車<7203.T>、デンソー<6902.T>はともに4%超安。トヨタ自動車が4─6月の国内生産計画を従来に比べて抑制する方針が伝わり、利益確定売りが強まった。そのほか、東京エレクトロン <8035.T>ファーストリテイリング <9983.T>アドバンテスト <6857.T>エムスリー <2413.T>が大幅安。日揮ホールディングス <1963.T>、KDDI <9433.T>は底堅かった。東証1部の騰落数は、値上がり413銘柄(18%)に対し、値下がりが1707銘柄(78%)、変わらずが60銘柄(2%)だった。1264

来週は・・・

[東京 11日 ロイター] – 来週の東京株式市場は、下値模索の展開が想定されている。ウクライナ情勢の先行きが不透明な中、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、地政学リスクと金融引き締めへの警戒感が相場の重しになるとみられている。FOMCは無難通過との見立てが優勢なものの、予想外にタカ派材料が飛び出さないか警戒する声もある。

日経平均の予想レンジは2万4500―2万5500円。

足元の相場について「外部環境に左右されており、事態が好転するのを待つしかない」(国内証券)との声は多い。週末の米国版メジャーSQや国内での連休を控えて、手控えムードになりやすいとみられている。ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは「ボラティリティーの高い状況は続くだろう。上値は重そうだが、状況が悪化しなければ慎重に上値を試し得る」とみている。

ロシア側の強硬姿勢に変化はみられず、トルコでの外相会談は停戦に向けた進展がなかった。市場では「見解の隔たりは容易には埋まりそうにない」(国内証券)との見方が優勢で、戦闘が激化するようなら緊張長期化や経済への悪影響が警戒されすい。

欧米などの対ロ経済制裁で、原油・天然ガスや非鉄金属、穀物などの供給が制約されるとの思惑から価格が高止まりし、インフレ高進と景気後退が同時進行するスタグフレーションへの警戒感がくすぶっている。金融当局は難しい舵取りを迫られており、米金融政策の行方を読む上で、15─16日のFOMCにあらためて関心が向かいそうだ。

3月FOMCでの初回0.25%の利上げ開始は市場で織り込まれてきた上に、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は議会証言でウクライナ情勢への配慮をにじませた。今回のFOMCでの大きな波乱は見込まれていない。

ただ、ウクライナ情勢に配慮してハト派化するとの思惑もあった10日の欧州中央銀行(ECB)理事会は、量的緩和政策の縮小の加速を表明しており「欧米の金融当局は、ウクライナ情勢より物価上昇を警戒するスタンスのようだ」(別の国内証券)と風向きの変化を感じ取る向きもある。ニッセイ基礎研の井出氏は「FRBはウクライナ情勢とインフレ抑制のバランスを取ろうとしている。バランスが崩れなければ、相場の下値は固くなっていくだろう」と話している。

このほか中国では15日に1―2月の鉱工業生産や小売売上高など重要指標が発表される。国内では17―18日に日銀の金融政策決定会合を控えているが、市場では足元の政策変更は見込まれていない。16日は春闘の集中回答日。